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【コラム】 壇蜜を「裸」に出来るコンサル力があるか?

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会計士も税理士も試験に合格しただけでは、食べて行くのが簡単ではないという話は最近の受験生もある程度、耳にしていることだろう。会計士の場合、企業の内部統制強化に伴い、監査法人が大量雇用してしまったツケがリーマンショック後に表面化。業績悪化により、大手でもリストラに踏み切る監査法人が出たことは関係者に衝撃を与えた。

大学受験や公務員試験のように、合格さえしてしまえば後はレールの上に乗っかればいいわけではない。会計士も税理士もビジネスのリアルな現場で仕事をするための資格であるわけだから、勉強で培った知識を基に、後は時々刻々と変わる日々の業務に対応する力が求められる。会計士が「棚卸立会」でスーパーの商品や倉庫の中身を一つ一つ数えていく根気もいるし、クライアントの税務調査に来た税務署職員に盾となって対応する税理士は度胸も試されるはずだ。

日常業務だけではない。中長期で自分自身のキャリアプランをどう描いていけるか。身の立て方の戦略を練られる人は必ず生き残れる可能性が高い。こういう時は、会計士や税理士よりもはるかに同業者間の競争が激しい世界に身を置いている人の処世術は参考になる。たとえば芸能界は、新規参入が多い典型例だ。大手レコード会社が開催する新人歌手のオーディションとなれば、万単位の参加者が応募してくる。

グラビアアイドルも競争が激しく、一握りの勝ち組が生き残る厳しい世界だが、その中で去年ブレイクした壇蜜さんは、異色の経歴だ。10代で高校を中退する新人も多いという中で彼女のデビューは29歳と際立って遅い。芸名の由来となった葬儀会社での勤務を始め、職を転々とした上で芸能界にチャレンジしたのだ。

現役の若手会計士、税理士あるいは志望者の男子諸君で、壇蜜さんのファンもいるだろうが、鼻の下を伸ばしている場合ではない。「遅咲き」といっても、極めて奇跡的なブレイクである。なぜ彼女が売れたのか、独立して経営コンサルティングをするつもりなら、その練習がてら要因を探り当ててみることだ。

彼女自身は社会人経験が長かっただけあり、自らの置かれた状況を冷静に観察できるリアリストでもある。昨年暮れの「週刊ダイヤモンド」の特集号(2012年12月22日号)でのインタビュー。その見出しが「シビアなシビれる世界で唯一無二を目指します!」とあるように、周囲との差別化をどうするか彼女なりのマーケティング戦略の一端が述べられている。アイドル業界について「グラビア」「清純派」「モデル」、さらには「AV(アダルトビデオ)」にまでカテゴライズする。セクシー路線の印象がある壇蜜さんだが「AVには出ません」ときっぱり言う。その理由も実に整然としている。一時的な話題やお金を手にしても、テレビや一般の雑誌で取り上げられることがなくなってしまう現実を分かっている。だから彼女はAVでもグラビアでもなく、「新しいエッチなお姉さん」というポジショニングに勝ち筋を見出しているというのだ。このインタビュー、経済誌らしい切り口で「壇蜜」というタレントの「裸」の部分に光を当てたと言える。

会計士や税理士でも、自分の強みや弱み、個性を冷静に分析して一番高いパフォーマンスを発揮できる土壌はどこか探す能力は必要だ。たとえば会計士の武田雄治氏は、駆け出しの頃に公会計分野を多数手がけたことで、それが事務所内で最初の差別化になった。若い頃は目の前の仕事をがむしゃらにこなすことで実力を高めていくのが肝心だが、中長期で戦略を立てていく志向も養いたいものだ。

会計士、税理士、志望者の男子諸君、壇蜜さんに興奮するのではなく、その生き方に刺激を受けようではないか。

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