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【コラム】 東京五輪商戦でJOCが厳しい取り締まり

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2020年の東京五輪招致が決定

2020年の東京五輪招致が決まった。筆者は東京・駒沢体育館で開催されたパブリックビューイングで「その時」を友人たちと迎えた。IOCのロゲ会長が「トーキョー」とプレートを掲げた瞬間、喜びを爆発させたことは言うまでもない。スポーツのライブ中継でこれほど感動したのは、1997年、サッカー日本代表がアジア予選の代表決定戦でイランを破り、初のW杯出場を決めた「ジョホールバルの歓喜」と、2011年のなでしこジャパンによる女子W杯制覇だ。共通するのは、それらの試練をいずれも乗り切った当時は、日本のスポーツ界で極めて困難なことであり、感動もひとしおというところだろう。

さて我が友人たちが喜んだのは単純に五輪開催が決まったからだけではない。彼らの会社は、スポーツ業界に関連するIT企業であり、日本人のスポーツ熱が一層高まることで今後の市場拡大が見込まれるという実利的な側面もあった。東京五輪招致委の試算では、経済効果は3兆円。すでにそろばんを弾いている企業も多いだろう。もしかしたら会計士や税理士の皆さんのなかにも、クライアント企業でそういう期待をしている場面に出くわしているかもしれない。

五輪商戦白熱の落とし穴

ここで一つ注目したいナイキの広告がある。ナイキの広告といえば、「JUST DO IT!」(やるっきゃない!)を始めとするキャッチコピーが印象的だが、五輪招致が始まった直後に特設サイト(http://nike.jp/decide/)などで流されたのが、「七年後、どんなきみになるかは、今日のきみが決める。きみはどうなりたい?」。国民一人一人に問いかけるメッセージ性の深さとクールさは、健在だと感じたが、実は、もう一つこのコピーには深い裏がある。

よく注目してみると、「五輪」あるいは「招致成功」といった文言が入っていないことが分かる。ナイキは、競合のミズノ、アシックス、デサントと異なり、JOCの協賛企業になっていない。このため、東京五輪に関連して商標登録された数々のワードを使ってしまうと、知的財産の侵害とみなされるため、このような間接的な表現にとどめているのだ。協賛企業ではない大手デパートでは、大丸が一度計画したお祝いイベントを中止。高島屋は「五色」のシュークリームやワイン類を販売しているものの、あくまで「カラフルマーケット」との名目で販売をし、テレビ局の取材に対しても「偶然」を強調している(笑)。JOCとの“知恵比べ”が始まっているわけだ。

「登録商標」とJOCは言うが

ただし、朝日新聞が9月10日に報じた記事がさらに波紋を呼んでいる。直接的な表現ではなくても、「4年に1度の祭典がやってくる」「おめでとう東京」「やったぞ東京」「日本選手、金メダル!」といった、あきらかに五輪を意識したと解釈できる言葉について、JOC側が「アウト」とみなしているというのだ。これに対しては弁理士の栗原潔氏がブログで手厳しく論評(http://blogos.com/article/69788/?axis=b:30782)。登録商標には存在しない文言も含まれているため、「法的根拠がやはりよくわかりません」「知的財産権の侵害とみなすと公式に表明するのであれば、是非JOCの顧問弁護士先生に法的な根拠を示していただきたい」などと注文を付けた。今後、知的財産の保護や法規制の範囲、言論の自由とのバランスをトータルで見据えた議論が盛り上がってくる可能性もある。

いずれにせよ、五輪商戦には慎重に参入しなければならないのは間違いない。なお、この文章を振り返ってもらえれば分かるが「五輪」という邦訳を使っていても、その元になった「オ」で始まる6文字は使っていない。なお、五輪という二文字に訳出したのは、戦前、読売新聞の運動部記者として大会を取材した川本信正氏(1907~96年)。新聞記事のスペース節約のため、五つの輪のシンボルマークから連想して作った言葉のようだ。かつて同紙の野球記者であった筆者は、大先輩に感謝の二文字を思い浮かべている。

(文/新田哲史=コラムニスト、記事提供/株式会社エスタイル)

カイケイ・ファン ナビゲーターによるコメント

カイケイ・ファンナビゲーター 小林 典子(MS-japanコンサルタント)

カイケイ・ファンナビゲーター
(MS-japanコンサルタント)
小林 典子

東京五輪招致の決定で、スポーツ関連業界を中心に、経済効果3兆円の市場で七年後に向けて事業拡大したい、と考える経営者も多いかと思います。BtoB・BtoC問わず、商戦が白熱しそうですね。
現段階では直接的な関連はないものの、今期から知財分野の求人が少しずつ増加傾向にあり、各企業で知財や法務分野への関心が強まっていることが伺えます。
企業を顧客に抱える会計人としても、顧客の商材や業績だけでなく、知財・法務戦略にも注目したいところです。

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