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【会計士Xの裏帳簿】輸出推進で「SAKE」は世界ブランドになるか

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2013年11月19日掲載

国税当局も日本酒輸出を後押し

人口減少による国内の需要減少、TPP参加などもあり、日本製品の海外輸出の重要性が語られています。その中で最近話題になっているのが、「日本酒」。TPP交渉でも、酒類の関税撤廃が議論され、北米へ向けた輸出への後押しが期待されています。

安倍政権では、野田政権時に立ち上げた「ENJOY JAPANESE KOKUSHU(國酒を楽しもう)」プロジェクトを継続。日本酒輸出に向けた取り組みを推進しています。先日は、国連で各国の外交官を集めた利き酒会を行ったことがニュースになりました。

日本酒輸出推進には、国税当局も一役買っています。酒の醸造、流通には酒税が関わります。課税のために、流通する酒類のアルコール度数や製法などを把握する国税は、実は日本の酒類の情報を最も多く持つ官庁です。

国税の酒との関わりは税金だけにとどまりません。全国の国税局が、毎年「利き酒会」を主催したり、酒造メーカーや販売店とつながりを活用したり、未成年者飲酒防止のキャンペーンなどにも警察や厚労省とともに参加しています。

その国税庁は10月末、「日本酒輸出ハンドブック」を公表。特に輸出の伸びが期待できる韓国、中国、台湾、香港へ輸出する際の手引きとして、各国への輸出状況のほか、輸出に関する税制などの手続き、各国の法律、商慣習などを踏まえた留意点などをまとめています。

待たれる「日本酒界のジョブズ」の登場

国税庁によると、平成24年の日本酒輸出額は89億4600万円で、過去最高を記録しています。しかし、数千億円規模のフランスのワインやイギリス(スコットランド)のスコッチ・ウイスキーと比べると「SAKE」は遠く及ばないのが現状です。

世界各国には、国民に愛される「国酒」があります。そして、グローバル化により諸外国の酒が食卓を賑わせる環境ができています。経済的にいえば、「代替財」が数多くある状態であり、その中で日本酒が選ばれるための売り込みは容易ではありません。

酒好きの私が思うに、日本酒の一つのネックは、国内ですら「料理を選ぶ」といわれ、飲む機会が限られると思われていることです。世界戦略にあたっては、酒そのものとともに、日本料理店でだけではない、TPOに合わせた楽しみ方の知識と合わせて輸出すべきでしょう。

ワインの飲み方といえば、誰でも判で押したように「肉は赤、魚は白」と口にします。それがどれだけ正しいのかはともかく、このような「価値観」が世界的に広まっていることが強みであることは間違いありません。

政府の後押しもさることながら、スティーブ・ジョブズが「Apple製品を持つ生活」を魅力的に語ったように、日本酒を飲むスタイルの「価値」をプレゼンする能力が必要となりそうです。日本の蔵元からジョブズのような「革命児」が登場してくるのを期待したいところです。

 

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