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クラウド会計ソフトが税理士へ与える恩恵

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昨年末に更新された「【会計士Xの裏帳簿】クラウド会計ソフト「freee」は税理士業務の脅威になるのか?」。こちらの記事では、クラウド会計ソフト「freee」の特徴と、クラウド会計が税理士へ与える影響について取り上げさせて頂きました。今回のコラムでは、クラウド会計ソフトが税理士へ与える影響の中でも「恩恵」となる部分について、実際に利用している税理士さんの声と合わせてお伝えします。

注目すべきクラウド会計ソフト2社の動き

現在、クラウド型の会計ソフトは、いくつかの種類が世に出回っており、シェア拡大に向け熾烈な争いを繰り広げています。老舗会計ソフト各社も続々とクラウド対応を始め、市場も活気づいております。その中でも、2013年のローンチから急激なユーザー数の獲得で成長中の2社について紹介させて頂きたいと思います。

【freee】…会計知識いらずで決算書作成まで全自動のクラウド会計ソフト
2012年のTechCrunch Tokyo(TC Tokyo)でデビューを果たし、2013年3月のローンチから、わずか10ヶ月で導入事業所数は3万件を突破。同年7月に総額2億7千万円の資金調達を実施し、2014年2月にはiPhone対応アプリの提供を開始し、なおも急成長を続けています。

【マネーフォワード】…確定申告や法人会計をラクにする新時代のクラウド会計サービス  『マネーフォワード 確定申告』及び、『マネーフォワード For BUSINESS(法人会計)』を提供。2014年1月に正式版をリリースしたばかりですが、多くのメディアで取り上げられている話題沸騰中のサービスで、2013年10月にはベンチャーキャピタル大手のジャフコから5億円の資金調達を実施しています。

クラウド会計ソフトと税理士とのパートナーシップ制度とは

上記でご紹介させて頂いた2社には、「freee認定アドバイザー」、「マネーフォワード公認パートナー」という税理士とのパートナーシップ制度が設けられています。税理士がこちらへ登録するメリットとして、下記の3つが挙げられます。
① ユーザー側がクラウド会計ソフトを使用していく上で、専門的な税務・会計知識を必要とした際にお問合せが届き、新規クライアント獲得のチャンスが生まれる
② クラウド会計ソフト導入を検討している企業から問い合わせを受けたタイミングで、税務顧問を変更してはどうかという提案が可能になる
③ 新設の法人から、新規の税務顧問依頼が舞い込む可能性がある

昨年から、好景気の影響もあってか、空前の起業ブームが巻き起こっており、いわゆるスタートアップと呼ばれる創業間もない企業が、これまでなかった革新的なサービスやプロダクトを世に出し、巷で注目を浴びています。今まで新設法人へのアプローチといえば、DM発送やセミナー活動が定石だった税理士の新規開拓の手法も、今の起業家に対しては効果が弱くなっており、変革のときを迎えようとしているのです。上記のように税理士の方々は、革新的な「技術・サービス」に対応できる柔軟な税理士という側面を効果的にブランディングし、一種の「営業ツール」として、「クラウド会計」を活用することが出来る訳です。

クラウド会計ソフトのパートナー制度へ登録した税理士の声

では、実際にクラウド会計サービスを利用されている税理士の反応はどのようなものなのでしょうか。実際にクラウド会計ソフトのパートナー制度へご登録している、とある税理士の方へ取材をしてみました。

【パートナー登録をしたきっかけ】
スタートアップの経営者は、新しいサービスへ飛びつく傾向が強いです。即ちアーリーアダプターである彼らは、世間で注目されている「freee」、「マネーフォワード」をベンチマークとして意識しているのと同時に、自社でも積極的に導入したいと考える方が多いと感じております。また創業当初は、なるべく設備投資を抑えたいという観点からも、従来の会計ソフトと比べ、リーズナブルなクラウド型会計を検討するでしょう。
これらのニーズに応えるべく、弊所ではサービスラインの一つとして「クラウド会計ソフトへの対応」を設けております。そして、「特定のクラウド会計→クラウド対応できる税理士」という流れで税理士を探す起業家をターゲットとして、顧客を獲得することを狙い、パートナー制度へ登録をしております。

【クライアントからの反響は?】
すべてがパートナー制度経由ではありませんが、クラウド会計ソフトに関する新規のお問合せに限定して言えば、順調に増えています。「会社経営をリアルタイムでモニターしたいから、会計ソフトもクラウド導入を検討している」、「情報が自動インポートされたのは良いが、決算書を作成するタイミングで困っている」等、税務顧問のご依頼に限らず、このようなお悩みやトラブルのご相談を頂いており、そこから信頼関係を築いた後にクライアントになって頂くケースもございます。現在の税務顧問先からは、弊所のホームページをご覧になり、クラウド会計にご興味を持たれるケースもあり、営業トークとしても活用しています。但し、すべてのお悩みやトラブルがクラウド化で解決できるという訳ではなく、クライアントにとって適切な会計ソフトをお選びいただけるよう、メリット・デメリットを丁寧にご説明し、提案するように心掛けています。

【税理士とクラウド会計ソフトの付き合い方について】
会計事務所の視点からすれば、税務リスクや業務オペレーション等、まだまだ、改善の余地が必要な部分もありますが、ユーザー視点から見れば、非常に画期的なサービスであることは間違いなく、今後は、ユーザー主導でこのようなサービスが普及していくと考えられます。
その際、「ウチでは扱っていない」ではクライアントの不満に繋がりかねないでしょう。 一方、パートナー制度に登録している会計事務所も、「freee」「マネーフォワード」に対応してはいるものの、メインで使用している会計ソフトは従来の一般的な会計ソフトというケースが多いのも実際のところです。

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上記のように、新たなサービスには新たな悩みも付き物です。クライアントのお悩みに一つでも多く応えられるように、「サービスオプションの1つ」としてクラウド会計ソフトを導入してみては、いかがでしょうか?

(文/リクルーティングアドバイザー)

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