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新卒で会計事務所に行くべきか?

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4月は多くの企業で入社式があり、新卒生はこれから企業内で研修を受けながら「会社員」としてのキャリアを築いていくことになります。一方、会計事務所業界では新卒採用よりも中途採用を重視する傾向にあり、未だに即戦力者採用を優先する傾向にあります。
そのような会計事務所業界の中で、徐々に新卒採用を積極的に行う事務所が増えているようですが、果たして新卒で会計事務所に入所するべきなのでしょうか。
今回の会計トピックスでは、新卒で会計事務所に入所するメリットとデメリットを纏めてみたいと思います。

新卒で会計事務所に入所するメリット

まず、新卒で会計事務所に入社するメリットの中には「若くして専門的な知識を身につけることができる」という点があります。社会一般的には、事業会社に入社しても希望する部署に最初から配属されるケースは意外と少なく、どのような業務を担当するかは本社の人事が決める、というケースが一般的です。そのため、税務・会計の知識を早い段階で確実に身につけてキャリアを構築したい、という方には会計事務所がマッチします。

また、明確に税理士の資格取得を希望されている方にとっては、「受験勉強をすることに理解がある環境で働ける」という点もメリットとなります。一般企業の場合は、経理部門に配属となっても、税理士レベルの専門知識を求められることは殆どありません。経理スタッフとして期待されているのは、会社の経理機能をマニュアルに沿って運営することであり、税理士試験に受かることではないのです。税理士試験に受かる為に専門学校に通い、毎年のように試験前から試験日当日まで休暇を取得できる、というのも会計事務所だからこそ実現が可能だと言えます。若いうちにこそ専門的なノウハウを吸収し、資格取得もしていきたい、という方には会計事務所がマッチする傾向にあるとも言えます。

では、会計事務所に新卒で入所するデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
次の事項では、その点についても触れてみたいと思います。

新卒で会計事務所に入所するデメリット

会計事務所は一般事業会社と比較すると「研修制度」「給与条件」など福利厚生の分野では未整備な部分も多い業界です。特に新卒入社の社員にとって“組織人として働く”ということ自体が初めてですので、入社当初はビジネスマネーや仕事の進め方、細かな業界知識についての研修や指導が本来は必要です。そういった点では、大企業ともなれば人事機能がしっかりとしていますので、個々人の適性に応じた人員配置(拠点、部門)や職能別研修や語学研修などの各種研修の実施等、手厚い支援があり、長期的な視点で人材育成を行っていく傾向が強く、新入社員の研修期間を2~3ヶ月用意し、その後に本配属を決めるというスタイルの会社も珍しくありません。また、福利厚生の整った会社であれば、基本給に加えて住宅手当や残業代の支給などもあり、会計事務所よりも経済的なサポートが得やすいという“環境的魅力”があります。

一方で、会計事務所はあくまで専門家集団としての色合いが強く、新人教育に対する取り組み・体制が不十分であるという点は否めません。あくまで新人は、技術・スキルを自ら率先して盗み、自分自身の努力で成長すべきだ、という旧態依然とした丁稚奉公的、師弟関係的な会計事務所が、いまだに多数派です。したがって、新入社員は仕事の進め方や基本的なビジネスマネーにおいても自主的に学ぶ姿勢が求められますので、新卒で会計事務所に入所する方は、「自律力」「主体性」が求められる業界なのだと認識をしておく必要があります。


上記のように会計事務所と一般事業会社(経理・財務)、どちらも数字を扱う仕事という点では共通していますが、それぞれの環境で異なる部分も多いのが現状です。
企業と事務所、どちらが良い悪いという話ではなく、どちらが自分自身の適性や志向性、目指すキャリアに合っているのかを考えた上で、進路を決めていく必要があるのでしょう。

(文/チーフキャリアアドバイザー)

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