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【コラム】 35歳転職限界説に変化の時代

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【コラム】 35歳転職限界説に変化の時代

今の若者がどんびきしそうな「昔話」から

筆者は2000年に新聞記者として社会人生活をスタートしたが、その当時はニュースの世界におけるネットの影響力はまだまだ貧弱だった。若者の新聞離れも現在ほどには顕著ではなかったので、大手の新聞社で働いていることは「鉄板中の鉄板」というべき安泰だった。新入社員の冬のボーナスが額面で3桁(!)あった時代なのだ。

ただ、それでも新聞記者の中には、たまに民放キー局や在阪の準キー局への転職を画策する人もいる。地方転勤も多い新聞社に比べ、民放はずっと東京や大阪という都会で全国クラスのニュースを取材できる。なによりも待遇格差もある。新聞社の給料をテレビと比べると、3分の2だった。一般の社会通念からすると、「贅沢の極み」と糾弾されてしまうだろうが、いかにテレビが社会的に、経営的に絶大だったか分かるだろう。当時は新聞がネットに広告費で抜かれ、テレビ局の経営危機説が出てくるとは想像しえなかった。

「35歳限界説」の背景

その頃、冗談交じりに同僚や先輩と転職話をするときにこんな話題がでたものだ。「お前も転職するなら35歳までだな」と。つまり転職には「35歳限界説」があるわけだ。新卒ほやほやだった筆者はまだ20代半ばで目先の仕事を覚えるのに必死で、他人事のようにしか思えなかったのだが、後年、ビジネスの世界への転身を模索するようになった時、「35」という数字が重くのしかかってくるようになった。

新聞記者は社会的には特殊な仕事をしていてビジネススキル的には全く“潰しが利かない”。企業側が35歳を目安としているのは、日本の企業、特にそれなりに歴史のあるところでは終身雇用文化が色濃いので、自社で育成して長く継続的に働いてもらいたいという感覚が強いからだ。未経験者を雇うとなると、教育しやすい若手であることに越したことはないわけだ。35歳当時の筆者も、転職の機会が事実上閉ざされてしまうと焦りを募らせていた。

リーマンショック後に変わり始めた採用動向

筆者の場合は結局いろんな奇遇が重なって、ちょうど35歳で新聞社からマーケティング会社に転職することになったのだが(それが良かったのかどうかはまだ結論は出ていない)。どうやら最近は「35歳限界説」が変わり始めているらしい。ある大手転職サイトの調査では、過去5年間に転職した人の年齢で35歳以上の割合が10%から23%と2倍以上増加したという。この動きが興味深いのは、リーマンショックの後から続いている点だ。つまりあれほどの景気の悪化で転職市場が縮小していた時期があったにもかかわらず、取るべき人を取っているということだ。つまり、不景気であっても、年齢を多少重ねていたとしても、スキル的に戦力になると認められれば採用する傾向に企業がシフトしているということだ。そういえば筆者の友人もリーマンショック直後にエグゼグティブ転職サイトを起業し、そうした人材動向の波をとらえ業績を着実に伸ばした。創業時7人だった社員も今では200人を超えている。

カイケイ・ファンは勿論のこと、筆者の友人の転職サイトを始め、転職市場で重宝されるのは、やはり会計士や税理士といった誰でもわかる有資格者だ。ただ、35歳以上の人が転職を志すときに留意したいのは“ペーパードライバー”では相手にされないことだ。35歳限界説の崩壊は、裏を返せば企業の実務志向がさらに強まっているといえる。どういう車を、どう運転してきたのか、ライセンスに基づいた経験、あるいは知見を活かしてどういう運転ができるのかをしっかりアピールする必要がある。

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(文/新田哲史=コラムニスト、記事提供/株式会社エスタイル)

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