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【会計士Xの裏帳簿】「偽物」税理士増殖!? 法令遵守をビジネスチャンスに

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【会計士Xの裏帳簿】「偽物」税理士増殖!? 法令遵守をビジネスチャンスに

申告書の作成、税務相談などは税理士のみが行うことができる独占業務です。しかし、昔から税理士業界には、これらの業務を行う無資格者、いわゆる「ニセ税理士」の存在があります。私は、最近の社会・業界の事情から、この事例が増えていくのではないかと考えています。

記帳代行業者による申告業務

ニセ税理士に関連して近年顕著になっていることに、会計ソフトの性能向上により記帳代行をする企業や団体が増えていることがあります。

記帳代行が以前より容易になっていることは紛れもない事実であり、それ自体は悪いことだとはいえません。しかし、記帳代行業者の広告の中には、サラリと「申告書の作成」が業務内容として書かれているものを目にすることがあります。

そのような業者が、実際にどのように申告書に関する業務を行っているのか定かではありませんが、一部はおそらく税理士が申告書に押印のみを行なう「名義貸し」でしょう。ニセ税理士業務に本物の税理士が加担するという側面があることは、私たちも忘れてはならないことです。

相続税の相談、税理士の高齢化も関係

ニセ税理士増加の要因としてもう一つ挙げると、相続税法改正により、無資格者が相続税に関する業務、とくに税務相談業務を行う事例が増えるのではないか、という懸念があります。

他士業やFPの知り合いとお話をしていると、税理士法の「税務相談を受けることもNG」という規定がかなりのストレスになるようです。相続に関する相談を受けると、必ずといってよいほど税金について聞かれるため、そのたびに税理士法に気を使わなくてはならないからです。

税理士法で定められた税務相談は、依頼者の所得や資産等をもとに節税についてアドバイスするといった、具体的な相談を継続的に行うことであり、税法の一般的な解説をすることは禁止されていないと考えられています。しかし、相談者の質問は広範囲かつ不規則に飛んできます。当意即妙の受け答えが必要となるため、「今の答えは大丈夫だったのか」と迷うことは多いでしょう。

誤解を恐れずに言えば、一つ一つの受け答えで税理士法について気を使っている方であれば、厳密にいえば「危ない」場面があったとしても、悪質なニセ税理士になることはないと思います。しかし今後、相続に関わる士業・企業が増えていくことで、法律の不知、あるいはうすうす違法とわかっていながら、ニセ税理士活動に次第に手を染めることになるケースが増えていくでしょう。

高齢化に関しては、税理士業界の問題もあります。以前から、ニセ税理士の類型のひとつとして、登録抹消後の税理士の存在があります。また、税理士事務所に登録者がいなくなり、なし崩し的に「偽物」として税理士業務を続けてしまう事例も報告されています。後継者不足、また若手税理士の採用がしにくい現状があるだけに気になるところです。

「提案型営業」としての偽物税理士対策

悪質な業者が罰せられることは当然ではありますが、個々の税理士としては、「取締り」の観点ではなく、税理士の役割を自覚し、納税者、事業者へ啓発を行うことが重要であると感じます。

記帳代行やコンサルティング、相続業務を行う会社や個人に対して、無資格であることのコンプライアンス的なリスクを説明し、対策を提案することは「営業」としての効果もあります。税理士との連携のありかた、税理士業務の引継ぎのフローについて入念に打ち合わせを行い、名義貸しとは一線を画する本物のアライアンスを税理士主導で構築するノウハウが必要なのではないでしょうか。

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