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税理士のキャリアパスと年収の関連性

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税理士のキャリアパスと年収の関連性

近年、税理士のキャリアも多様化が進み、それぞれのキャリアによって年収水準にも大きな差があることが分かってきています。今や記帳代行から税務申告書類の作成など“定型業務”を完全にこなせるというだけでは高い年収を目指すことは困難な状況になっており、これから「税理士として活躍をしていきたい!」という方にとっては、税理士のキャリアパスと年収の関連性は把握しておくべきでしょう。今回は弊社独自調査(※)から、税理士の平均年収や高年収税理士の特徴など、税理士のキャリアパスと年収の関連性について最新のデータが出ましたので、その一部をご紹介したいと思います。

※現役税理士1300名を対象に調査(2015年3月現在)

500~600万円の税理士が最も多いという結果に

 今回の調査では現役の税理士1302名を対象とし、現在の年収水準についてデータ収集を行いました。その結果、直近の年収が500~600万円という税理士が最も多く、その割合は調査対象者の約54%にも達しました。年収700万円以上の層も32.4%と比較的多いことが分かります。 一方、税理士資格を有していても年収が300~400万円という税理士も一定数存在し、今や税理士=高年収というイメージが崩れつつあることが分かると思います。

【グラフ1】税理士の年収分布
キャリア別に見る税理士の年収

キャリア別に見る税理士の年収

調査対象者の内、年収700万円以上の税理士が約3割以上も存在したことから、そのような税理士がどのような業界に身を置いているかを更に調査を進めました。その結果、比較的年収水準が高い業界は金融業界(ファンド、投資銀行等)であり、中には年収が2000万円以上という税理士も複数存在していました。また、そのような高年収な税理士は金融機関内でも経理ではなく、コンサルティング業務を担当している方々でした。

また、700万円以上の税理士が最も多く在籍している業界は会計事務所業界であり、中でもBIG4税理士法人においては、スタッフ職で700万円以上、マネジャーに昇格すると1000万円以上の年収になるようです。また、BIG4以外の会計事務所で年収水準が高かったのは、「国際税務」や「資産税」など特殊な分野を強みとする事務所でした。尚、一般企業に関しては、経理スタッフ職で700万円前後、部長職以上で1000万円強とBIG4税理士法人と似た給与体系になっている印象でした。

※独立開業を行っている方の中で700万円以上の方に限定をしたところ、個人プレーヤーとして活動している方は1000~2000万円程、既に事務所を組織的に運営している所長は2000~4000万円程の年収を得ている方が多いようです。

【表1】キャリア別に見る税理士の年収水準 (対象:年収700万円以上の税理士)
キャリア別に見る税理士の年収水準 (対象:年収700万円以上の税理士)

税理士事務所で年収UPをする方法

 上記のように年収水準だけにフォーカスした場合、金融業界や公的機関、一般企業の役員などを目指した方が多くのリターンを得られるように感じますが、一方でそのような職種に就いている税理士は少数派であることも事実。また、金融機関や事業会社などの非会計事務所では入社後も激しいキャリア競争が待ち構えていることが多く、税金のプロとしてではなく組織人としてのプロを目指す方に向いているキャリアだと言えるでしょう。 一方、税理士の中には「自分は税務の専門家でいたい!」と考えている方も多く、そういった専門家志向の税理士にとっては、自分の専門性を磨くことでベースの年収を高め、その後、会計事務所でマネジャー的役割を担うキャリアのほうが向いているかもしれません。また、実際にそういったキャリアの税理士は、スムーズに年収UPも実現出来ているようです。

【図1】税理士が会計事務所で年収UPするイメージ

冒頭でも記載したように、今や税理士のキャリアは多様化に向かっています。 会計事務所で専門性を高めるのも、一般企業に転職をするのも、場合によってはファンドや公的機関に移るのも個々人の能力やタイミングによって徐々に叶うようになってきているのです。「これから税理士としての価値を高めて行きたい!」という方にこそ、適性と志向性を加味しながらキャリア設計をして頂けたらと思います。また、その際に今回のデータが参考になれば幸いです。

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(文/シニアコンサルタント)

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