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【コラム】法科大学院同様、会計大学院も・・・専門職大学院の苦戦の理由

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【コラム】法科大学院同様、会計大学院も・・・専門職大学院の苦戦の理由

3月15日の日本経済新聞によると、熊本大学は大学院法曹養成研究科(法科大学院)の入学生募集を2016年度から停止すると発表しました。文部科学省によると、廃止を含む法科大学院の募集停止は全国で25例目、国公立大では7例目となっています。

専門職大学院には、法曹(法科大学院)のほか、会計、ビジネス・MOT(技術経営)、公共政策、公衆衛生等があり、さらに平成20年度(2008)には、教職大学院が開設しましたが、認知度不足、予想以上の入学辞退者と定員割れの状態が続いています。前出の熊本大学も、募集停止の理由として、志願者の減少による定員割れが続いているほか、国からの補助金を減らされたためとしています。

今回は、専門職大学院の苦戦の原因について、探ってみたいと思います。

専門職大学院とは

専門職大学院は、科学技術の進展や社会・経済のグローバル化に伴う高度専門職業人の養成に目的を特化した課程として、文部科学省が平成15年度に創設しました。これまでの研究型大学院とは異なり、少人数教育、双方向的・多方向的な授業、事例研究、現地調査などの実践的な教育方法をとる点、研究指導や論文審査は必須としない点、実務家教員を一定割合置くことなどを制度上定めている点が特徴です。

修了すると、法科大学院は「法務博士(専門職)」の学位が授与されるほか、司法試験の受験資格が与えられ、また会計大学院も会計修士(専門職)などの学位が授与されるとともに、公認会計士の試験科目が一部免除されることなどが注目を集めましたが、法科大学院と同様に苦戦しています。

法科大学院・会計大学院の苦戦の理由

もともと、法科大学院や会計大学院の制度化は、受験予備校への依存体質からの脱却がひとつの狙いでした。ところが、実際に法科大学院や会計大学院の学生になっても受験予備校に通う学生は多く、専門職大学院だけでは受験の準備ができない現状となっています。

例えば会計大学院では、修了すると公認会計士試験の短答式試験の一部が免除となるものの、大学院の授業だけでは、残りの公認会計士試験の問題などに対応できません。このため、2年分の時間と学費を会計大学院に費やすなら、受験予備校に通った方が学費を節約できると考え、大学院進学を選択しない人もいます。

メリットにも着目し、適切な進路選択を

このように、制度設計上の問題点はありますが、少人数教育のため、実務の第一線で活躍している教員や別企業・別業界の社会人学生とつながりを持てるメリットもあります。そういった人間関係から卒業後の仕事の世界が広がるということも、大いに考えられるでしょう。また、4年制大学よりも比較的競争倍率が低いため、有名校に入りやすいという点も、メリットのひとつといえます。そして、専門分野の修士学位を持つということは、その分野の一定水準の専門知識があるという証明になりますので、就職・転職時に採用企業の目に留まることは間違いないでしょう。

一定の学位を取得することは、それなりの時間と費用が発生します。残念ながら、現状では募集を停止する専門職大学院もありますが、大学院進学もしくは受験予備校へ通う、それぞれのメリット・デメリットを考慮のうえ、適切な進路選択をしていただきたいと思います。

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カイケイ・ファン ナビゲーターによるコメント

カイケイ・ファンナビゲーター 森澤 初美(MS-japanコンサルタント)

カイケイ・ファンナビゲーター
(MS-japanコンサルタント)
森澤 初美

コラムの内容をお見受け致しますと、専門職大学院の制度設計上の課題や経営事情も一理ありますが、企業側から見た専門職大学院卒業のメリットは大いに感じられるところです。
現に司法試験合格者でなくても、法科大学院卒業という条件が企業法務への就職のための重要な目安にもなります。何歳までにどこでどのような仕事をしたいかという人生設計は、進路選択において重要になるのではないでしょうか。

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