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【コラム】実現すれば400億円の医療費削減? 協議中の「市販薬の医療費控除」とは

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【コラム】実現すれば400億円の医療費削減?協議中の「市販薬控除」とは

高齢化社会の進展に伴い、増加を免れない医療費。医療にまつわる社会保障費を何とか抑制したい財務省は、厚生労働省とともに「市販薬の医療費控除」の新設と制度の詳細を政府与党に提案し、平成28年度の税制改正に織り込むことを目指しています。

これまでも、例えば風邪をひいて薬局やドラッグストアなどで風邪薬を購入した際は、医療費控除の対象とはなりましたが、新制度となる「市販薬の医療費控除」はどのように違うのでしょうか。

これまでの市販薬に関する医療費控除と問題点

医療費控除は10万円を超える医療費が控除の対象です。
控除の対象は、大まかに言うと医師などの一定の資格を持つ者が、治療の目的で関わった場合の費用が控除の対象となります。

治療に必要な入院・通院や治療・検査にまつわる諸費用、妊娠・出産に関する諸費用、そして医師の処方箋により購入した医薬品代、病院等に行かず、治療のために購入した医薬品代などです。

ただ、上述の風邪薬を例にあげると、風邪薬などの市販薬だけでは年間10万円を超えるのは通常は難しく、やはり通院・入院など、病院などの医療機関へかからない限り、医療費控除は使うことができず、諦めるしかなかったというのが現状でした。

「市販薬控除」の趣旨と効果

医療費控除は、逆の言い方をすれば、控除の奨励が医療機関の利用を奨励することになり、政府の「社会保障費の抑制」と相反します。むしろ、国民に健康維持への高い関心を持ってもらい、万が一病気になったときも市販の一般医薬品で治癒させる、セルフメディケーションを推進しています。

「市販薬の医療費控除」の現在の有力案は、現行の医療費控除との選択適用で、市販薬を年間1万円以上購入した世帯について、総額から1万円を引いた金額を最大10万円まで所得控除の対象にするというものです。

「市販薬の医療費控除」の新設を要望する中心団体の日本OTC医薬品協会は、新制度実現時にどれくらいの国民が医療機関受診から市販薬購入に切り替えるか、また医療費削減効果はどれくらいになるか、風邪、鼻炎、肩・首・腰痛、胃など消化器痛の4症状について調査会社に調査を依頼しました。

その結果、15〜25%の国民が市販薬に切り替えると予測され、調査対象のこれらの4症状だけでも医療費が1,151億円削減でき、減税分の750億円を差し引いて400億円の医療費削減効果が見込まれるとのことでした。

また、他の症状での効果も期待できることが見込まれており、見込みの申告世帯数は1,852世帯に上ると予測しています。
 
現時点では、この「市販薬」の範囲をどこまで拡大するか調整が進められています。とりあえず来年からはこの「市販薬」の領収書を必ず保管しておいた方がよさそうです。

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