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大手メーカーの損失隠し事件を通して見えてくるもの ~公認会計士の社会的意義とは~【コラム】

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2017年7月10日掲載

 大手メーカーの損失隠し事件を通して見えてくるもの ~公認会計士の社会的意義とは~【コラム】

大手メーカーによる損失隠し事件は、2011年(平成23)、世界的に有名な国内光学機器メーカー(以後A社)が、バブル期の財テクの失敗により発生した巨額の損失を10年以上にわたって隠ぺいし、粉飾決算で処理したという事件です。その後の調査の結果、事件の黒幕は当時の経営陣であると判明します。そして、2017年(平成29)4月27日、A社と株主が当時の経営陣に損害賠償を求めた訴訟において、東京地裁は旧経営陣16人に対し、総額約590億円をA社に支払うよう命じたのです。

そこで今回は、東京地裁において賠償命令が出たことを契機として、世間の大きな注目を集めるとともに企業の経営に携わる多くの経営者の心胆を寒からしめたであろうこの事件についてもう一度振り返ってみるとともに、この事件を通じて、公認会計士が担う社会的責務について考えていきたいと思います。

損失隠し事件の内容とは

光学機器・電子機器メーカーとして名高いA社。カメラやICレコーダーなどでお馴染みですが、実は医療機器の分野、特に内視鏡では世界的なシェアを誇る一流企業です。優れた業績を残してきたA社ですが、実は、バブル期に財テクに力を入れ、多額の含み損を抱えていたのです。

含み損とは、有価証券や不動産などの保有資産において、現在の価格が購入時の価格よりも低い場合に発生するその差額のことを言います。それまでの会計ルールは、企業会計の計算などにおいて、企業が所有する金融資産をその取得時の原価(簿価)で評価する「簿価会計」という手法により行うというものでした。しかし、2001年(平成13)3月期末決算から導入された「時価会計」に基づく会計ルールにより、保有資産の価値を毎期末ごとに見直し、時価と簿価の差額が貸借対照表や損益計算書に反映されるようになりました。

こうして、含み損も損失として認識されるようになると、含み損を隠蔽するために行ったのが、「飛ばし」による損失隠しです。これは、含み損について、あたかも外部に売却したように見せかけて、会計の損失計上を免れる行為のことです。典型的な例としては、ペーパーカンパニーや子会社などに含み損を抱えた株式を売却することで、表面的には含み損を有していないようにみせかけるといった方法が知られています。A社も、含み損の一部を、複数のファンドを通す方法により「飛ばし」を行ったわけです。その他、事業拡大のための企業買収とみせかけて、企業を、実際の価値を大きく上回る金額で買収することにより損失を消すなどといった工作も行われました。

事件の教訓と公認会計士の責務とは

だれしも、嘘をついたことのないという人はいないでしょう。しかし、嘘をつくことにためらいを感じないという人はどれだけいるのでしょうか。当時の経営者たちも、含み損が発生したことをいち早く、正直に株式総会を通じて株主たちに説明するべきであったでしょう。しかし、一旦ついてしまった嘘を取り繕うために、あらゆる隠ぺい工作に及んでしまうのです。やはり、嘘はついてはいけないのです。そして、ついた嘘の責任の大きさは、嘘をついた人間にそのまま災難となって降りかかってくるのです。何事も、正直を旨とすべきということですね。

会社の経営を担う人間が負う責任の重さと実際に行った粉飾決算が社会にもたらした影響の大きさを鑑みれば、この事件を引き起こした彼らへの非難と責任追及はやむを得ないでしょう。しかし、このような不正をいち早く発見し、その影響を最小限にとどめることができるのは、まぎれもなく公認会計士なのです。つまり、公認会計士は、不正工作を企てる人間にその罪を気づかせ、大きな犯罪を防ぐことができるとさえ言えるのではないでしょうか。

公認会計士として活躍している方はもちろん、これから公認会計士をめざそうと考えている方は、この事件を通じて、公認会計士という仕事が社会に貢献する意義をあらためて考えるきっかけにしてはいかがでしょうか。

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(記事提供/株式会社エスタイル)

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