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ギャンブルで得た収入は確定申告するべき?日本にカジノが設置された時に予想される業務とは?【コラム】

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 ギャンブルで得た収入は確定申告するべき?日本にカジノが設置された時に予想される業務とは?【コラム】

現在、政府が設置を目指しているカジノですが、これをきっかけに、これまで徹底されてこなかったギャンブル収入全般への課税のあり方が見直されるかもしれません。
平成29年8月1日、カジノを含む統合型リゾート(以下、「IR」とする)の整備に関する有識者会議「特定複合観光施設区域整備推進会議」で、日本におけるIRやカジノのあり方に関するとりまとめが行われました。今回は、その会議で示されたカジノの姿から浮かび上がる留意点について検討します。

日本型カジノの特徴について

現在検討中のカジノは、諸外国で見られるものとは大きく異なります。例えば、国際会議場や展示場、劇場やホテルなど我が国の国際競争力強化やその魅力のアピールに資する施設を備えていることや、カジノへの依存防止やマネーロンダリング対策として、入場回数の制限やマイナンバーカードによる本人確認の実施、ATM機器の設置を禁止することなどが検討されている点が挙げられます。

ギャンブルで得た収益は、確定申告するべき?

ところで、カジノで一攫千金を狙いたいというのは誰もが思うところですが、宝くじやギャンブルなどで得られた収入は確定申告する必要があるのでしょうか。

まず、宝くじの当選金は非課税とされており、確定申告は不要です。一方、競馬や競輪の払戻金は、判例により、娯楽による一時的なものであれば所得税法第34条の「一時所得」とされ、確定申告の対象となるとされています。ちなみに、一時所得の金額は「総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(最高50万円)」です。つまり、50万円以下の収入については、確定申告したとしても課税されることはないわけです。なお、パチンコでの収入も同様に考えられます。
ここでわかりにくいのが「収入を得るために支出した金額」です。これは、「その収入を生じた行為をするため、または、その収入を生じた原因の発生に伴い、直接要した金額に限る」こととされています(国税庁ホームページNo.1490一時所得 参照)。例えば100円の馬券から10万円の払戻金を得たとすると、経費として認められるのは当選馬券の購入に支払った100円のみであり、外れ馬券の購入費用は含まれません。さらに、収入を得るために支出した金額を正確に把握するには、自分でメモをとるなどして把握する必要があり、そのためか、競馬やパチンコにおいて実際に申告している方はほとんどいないのが現状です。

それでは、カジノの場合はどうでしょうか。例えばルーレットやスロットマシーンを想定した場合、支払った掛金と得られた配当が刻々と変化するため、収支の正確な把握はほぼ不可能といってよいでしょう。逐一メモをとるのも非現実的です。しかし、現在検討中のカジノでは入場回数の制限やマイナンバーの活用も検討されており、例えばICチップなどの併用により収支を正確に把握することが可能となれば、カジノ収入の申告が厳格化されることも考えられます。

ギャンブル収入全般への影響と会計士・税理士としての対応について

さらに、カジノ収入の申告が厳格化された場合、確定申告のあり方に関する議論は競馬やパチンコなど他のギャンブル収入へと波及する可能性も生じてくると思われます。一方、カジノを経営する事業所側にも、マネーロンダリング防止の観点から、決算書類などの財務書類の適正性に一層の配慮が求められるでしょう。
ギャンブル全般における課税のあり方が変化することにより、税理士は、これまで徹底されていなかったギャンブル収入に関する納税義務の適正な実現を行う必要性を周知する努力が求められるほか、公認会計士にとっても、ギャンブルを経営する事業所の財務書類の適正性に一層、目を光らせる必要がありそうです。

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