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会計事務所でのアルバイト経験はキャリアとして評価されるのか

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会計事務所でのアルバイト経験はキャリアとして評価されるのか

税理士試験を受験されている方の中には、「是が非でも試験に合格したいので残業時間が少ない事務所へ転職したい」という方も少なくありません。また、彼らの中には一定期間は実務よりも試験勉強を優先させ、会計事務所で「アルバイト形態」で勤務したいという方もいます。しかし、このアルバイトでの働き方は、果たしてキャリア構築の観点からすると良いものなのでしょうか。今回の記事では、会計事務所のアルバイト求人動向とその働き方を選んだ場合のメリット、デメリットについて考えてみたいと思います。

会計事務所のアルバイトの求人動向について

まず、近年の転職市場における会計事務所のアルバイト求人がどのようなトレンドになっているかを把握することが大事でしょう。当サイトでも何度も触れているように、会計事務所における人材ニーズは2013年の半ばから高まり続けており、実際に税理士や科目合格者、会計事務所での実務経験者の引き合いは強くなっています。一方で、会計事務所での実務経験を有する若手層が一般企業に流れてしまっているという状況があり、会計業界としては若手人口の減少に悩まされているという実態があります。
上記の実態があるからこそ、会計業界における若手人材の採用は過熱している状況なのです。しかし、売り手市場と化した会計事務所の転職マーケットでは、会計事務所の採用活動が成功するケースの方が少ないため、結果として正社員で採用が出来なかった事務所はアルバイト採用まで枠を広げるという構造となっています。また、新規顧客や新規案件の獲得が出来ている成長・拡大中の会計事務所においては、業務の効率化を図る上でも、仕訳~記帳、決算~申告書作成までの内勤業務(巡回監査、税務相談以外の作業全般)を専門とする部署やチームを設けるようになっており、そのようなポジションの方を低コストで雇う(アルバイトや派遣)ケースが目立ち始めています。このトレンドは当面は続くことが予想されるため、今後も会計事務所での実務経験者がアルバイトの求人枠で採用をされるケースは増えるのではないかと推察されます。
但し、アルバイトの求人にも幾つかのパターンがあり、そのパターンによってキャリア形成上有利になるもの、不利になるものがありますので注意が必要です。次項ではアルバイト勤務のパターンとキャリア形成上の注意点について触れてみたいと思います。

実は会計事務所のアルバイト求人にも2つのパターンがある

会計事務所のアルバイト求人には幾つかのパターンがありますが、大別すると「(1)月次巡回、申告書作成までを行うタイプ」「(2)記帳代行メイン、会計業務中心のタイプ」の2つのパターンに分けられます。

(1)月次巡回、申告書作成までを行うタイプの場合は、一般的な会計事務所で記帳・決算業務から月次巡回(訪問)業務までを一人の担当者が行うタイプの事務所に多く見られます。このような会計事務所の場合は、アルバイトであっても巡回サービスまで担当をする形態になっているため、時期によっては一定の残業時間が生じてしまう可能性があるものの、実務面での専門性を高めやすいと言えます。また、残業が生じる可能性があるとは言っても基本的には担当件数を少なく設定されているため年間通じてプライベートの時間も比較的確保しやすいという特徴があります。

(2)記帳代行メイン、会計業務中心のタイプの場合は、完全に社内の業務が分断されており、内勤業務中心の働き方になることが予想されます。特にこのようなタイプの求人では記帳代行を主なミッションとするため、クライアントとのコミュニケーションをとる機会が少なく、作業ベースの仕事になる可能性が高くなります。そのため、実務面での専門性は身に付きにくいと言えるでしょう。
一方でクライアントから寄せられる急な質問対応や時間のかかる調べものや、クライアントとの面談等に時間を割く必要はなくなるため、年間を通じて残業時間は(1)の場合よりも少ない水準に抑えることが出来るという特徴があります。

上記を踏まえて各タイプを比較すると、恐らく(1)のタイプの方が「税務スキルの専門性」が担保でき、転職する際も戦力と見なされやすいことから、キャリア形成の視点からは有利ではないかと思います。
因みに、試験勉強を優先している方の中には、一旦は仕事を中断して試験勉強に専念したいという方もいらっしゃいます。最後の項目では試験勉強に専念するメリットやデメリットについて触れてみたいと思います。

税理士試験の勉強に専念するメリットとデメリット

まず、受験勉強に専念をすることのメリットですが、これは答えが明解です。働いている時間を試験勉強に投入できるため、100%勉強に打ち込むことが出来ますし、結果として税理士試験(科目)合格を果たせる可能性が高まります。例えば、もし現在1~2科目合格をされている方が、半年や1年ほど受験に専念をし、順調に2~3科目でも追加で合格を出来れば税理士試験の発表時には一気に自分自身の市場価値を高めることが出来るでしょう。また、もし科目を持っていない方が、短期間専念をして1科目でも新規で合格出来れば、転職活動を行う際の選択肢は大きく広がるでしょう。
但し、税理士試験の勉強に長い時間専念し続けるのは危険です。
基本的に若手層であれば税理士試験に1年~2年程専念をしても、その後の就職先は見つけやすいかと思いますが、30代半ば以降の方(特に経歴・専門スキルに乏しい方)に関しては、税理士試験に専念をするリスクが若手の方よりも大きくなりますので、長期間実務から離れることのデメリットも考えながら受験に専念をするか否かを検討される必要があるでしょう。

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(文/シニアコンサルタント)

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