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【会計士Xの裏帳簿】税理士試験の受験料が上がるって本当?

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2013年9月10日掲載

来年以降、受験手数料はどうなる?

税理士試験が終わりました。自己採点で「安全圏」にいる方はともかく、合否ライン上にいるとみられる方は、合格発表まで勉強のモチベーションを保ちにくい時期でもあります。

「ちょっと厳しいかな」という方は、既に気持ちを切り替え、来年度の試験に向けてスタートを切っているかもしれません。また、科目合格制度のある税理士試験、この期間に新しい科目にトライするという方も多いでしょう。

さて、来年度以降受験する方にとって、少し気になる情報があります。それは税理士試験の受験手数料が上がる可能性があるということです。現在、受験料は1科目3500円で、2科目以上受験する場合は1科目ごとに1000円を加算。この金額は平成12年度から変わっていません。

しかし、財務省が先ごろ公表した「平成25年度予算執行調査」の「税理士試験に必要な経費」の項で、試験実施にかかる経費が、受験手数料収入を上回っているとの実態が指摘されました。そして、この状況が続く場合「手数料の改正の検討を行うべき」とされたのです。

「赤字」に転落した税理士試験

税理士試験が「赤字」に転落したのは23年度。22年度は、受験料収入約2億5984万円に対し、経費は1億6730万円と、いくぶん余裕がありました。それが23年度、受験料2億4729万円に対し、経費2億6392万円と逆転。そして24年度には赤字額がさらに1千万円程度拡大しました。赤字の原因は受験者数の減少もありますが、それよりも経費が22年度から23年度に約1億円跳ね上がったことにあります。

経費増の理由は、試験会場の借料が5621万円から1億6568万円に増えたことです。22年度までは、主な試験会場として使用料が安価な大学などの教育機関が利用されていました。しかし、23年度以降、借料の高いコンベンションセンターや貸会議室が利用されるようになったのです。

例えば、東京都の試験会場といえば、以前は早稲田大学や立教大学などがおなじみでした。しかし、23年度には有明の「東京ビッグサイト」を初めて使用。また、神奈川県の試験会場には、同年度にあの「横浜アリーナ」が登場しています。

赤字の理由は試験会場にある

23年度に、大学の利用が減って大会場が使われるようになった理由には、東日本大震災があります。報道では、3.11の影響で、大学の前期授業の開始が遅くなってしまい、夏休みの補習等が後ろにずれ込んだため、校舎が使用できなくなったとされていました。しかし、翌年度以降にそのまま大会場を使用し続けていることの説明にはなりません。

今年度の税理士試験受験者は、約5万8千人。単純計算で、現在の2~3千万円の赤字を受験料でまかなうには、1人平均で約400円のアップが必要となります。1年に1回の試験ですので、気にする金額でもないかもしれませんが、赤字転落の理由は明確なのですから、受験料値上げの前に、大会場の使用を継続する理由、メリットについて、改めて見解を明らかにする必要があると思われます。

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