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【コラム】 会計士業界に「黒船」出現

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10月7日の朝だった。玄関先で日経新聞を開いて驚いた。
月曜の紙面には「新興・中小企業面」が掲載される。筆者は、中小ベンチャー企業の広報支援を生業の一つにしているので、日経の記者がどのような切り口で取り上げるのか定点観測のために精読している。そして注目の記事はこれ。冒頭だけ引用する。

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【会計士がベンチャー支援 新日本監査法人、月1万円で経営相談 】

新日本監査法人はベンチャー企業の経営支援事業を始める。専門の新会社を設立し、会計士が資金調達などの経営相談に乗る。料金を月1万円に抑え、創業間もない企業でも利用しやすくする。株高を背景に新規上場が活発になっており、早い段階から企業の成長を手助けし、将来の監査契約につながる「上場予備軍」を囲い込む。

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新日本といえば、トーマツ、あずさに並ぶ3大監査法人。大手企業や中堅でも既に上場している会社しか顧客に持たない印象があるが、風向きの変化は確かなようだ。昨年末、こちらのコラムで「監査法人が企業を”青田買い”する時代」を書いたが、その時点でも新日本は、大手企業とベンチャーの交流会を企画し始めると報道されていた。今回の記事では中小支援のための新会社も設立するとのことなので更に踏み込んでいる。一方、昨年末の記事では、トーマツも新事業を始める大企業に関連技術を持つベンチャーを紹介するなど、大手監査法人が新興企業を顧客として開拓する動きが目立つようになっていた。

記事が出た頃は、自民党に政権交代したばかりだが、その後、アベノミクスの成長戦略でベンチャー企業への後押しが加速。そして、五輪招致も決まった東京では、経済特区構想が現実味を帯び始めている。外資やベンチャーなど成長のけん引役となる企業にとって魅力的な環境が整おうとしているのだ。もちろん、監査法人側もこの波に乗り遅れるわけにはいかない。

ただ、ベンチャー企業を専門的に担当し、資金調達などの相談に乗っている会計事務所もある。それらは独立して間もなく1人の会計士がオフィスを構えているところも多く、彼らからすれば、業界内に「黒船」が出現したといえる。しかし、所帯が小さな事務所は機動力で対抗したいところだ。例えば税理士登録もしている会計士なら、消費増税に伴う事務の煩雑化にあって徹底的に面倒を見るのもありだろう。小回りも気も利くサービス提供で、社長の片腕としての存在感を高めるしかない。

(文/新田哲史=コラムニスト、記事提供/株式会社エスタイル)

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