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【コラム】「マイナンバー制度」を使った海外の確定申告制度

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【コラム】「マイナンバー制度」を使った海外の確定申告制度

日本でも2016年1月から運用が開始されることになった「マイナンバー制度」。最近はTVコマーシャルも放映中で、その存在は周知のことと思います。

この「マイナンバー制度」は、米国をはじめとする諸外国でも同様の制度が運用されていますが、マイナンバーがあらゆる行政サービスを包括するという点は、現在のところ日本のみということです。

今回は、既に制度化されている米国、スウェーデンの「マイナンバー制度」を使った確定申告制度をご紹介したいと思います。

米国の「マイナンバー制度」を使った確定申告制度

まず先進国で1936年にマイナンバー制度を発足させたのが米国です。米国ではSocial Security Number (SSN、社会保障番号)と呼ばれ、もともと戸籍制度のない米国では、納税について個人を特定することが目的でしたが、今では銀行口座・クレジットカードの開設や、運転免許証や車両登録にもSSNの登録が必要とされています。

現在も、SSNは確定申告の際に使われますが、確定申告では識別程度の位置付けです。SSNは米国市民、永住権保持者、もしくは特定のビザをもった人のみが取得可能な番号のため、例えば米国に不動産投資をしている非米国人などは、米国で確定申告の際、Individual Taxpayer Identification Number(ITIN、個人納税者識別番号)が必要となってきます。

米国では日本のような年末調整制度はなく、確定申告を個人で行なうことが義務付けられています。また給与所得以外の利子、配当、不動産賃貸等の所得も通算し確定申告する総合課税方式を採用しています。そのため、個人の確定申告でも沢山の申告書を期限の4月15日までに提出するのは大変なため、米国では税務を主に担当する税務会計士(Tax accountant)が活躍しています。国税・州税法も頻繁に改正される為、Tax accountantは知識をアップデートするために勉強することは必須ですが、その代わりにTax accountantであれば、職で困ることはないともいわれています。

スウェーデンの「マイナンバー制度」を使った確定申告制度

北欧の福祉国家スウェーデンは、1947年に背番号コード (Personal Identification Number、PIN) が導入され、生年月日、性別などを用いた固有の番号が出生時に付与されます。このPINを用いて、確定申告や年金受給時期の選択ができます。また住所変更は、PINを使いログインすることで簡単にできます。

スウェーデンでは、確定申告に「プレプリント方式」を採用しています。 給与所得者の確定申告を例にとると、前年の1月1日から12月31日までの給与明細書が、翌年1月に勤務先から手渡されます。同時に勤務先は、同様の給与明細書を税務署にも送付します。税務署は各種情報と照らし合わせたうえで、各納税者あてに4月1日に税額や還付額などが予め記載された申告書が送付されます。記載済みの申告書には、勤労所得税額(国・地方)、年金保険料、資本所得税額が記載(源泉徴収された額や税額控除も記載)されています。

申告書が手もとに届いたら、国民は申告書の内容をチェックし、誤りがなければサインして返送するだけで、確定申告が完了。また間違いがあれば訂正をして、その申告書を 5月第1月曜日までに税務署に提出することになっています。

その後、給与所得者や年金所得者の過払分の税金は6 月に還付となり、めでたく確定申告は完了となります。

日本のマイナンバー制度は、当面の間、社会保障・税・災害対策の中でも、法律や自治体の条例で定められた行政手続のみで使用されるとのことです。マイナンバー制度導入で、スウェーデンの確定申告制度まではいかなくても、日本の確定申告制度もよりシンプルで簡単な手続きになることを期待したいですね。

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