昨年は、税理士試験科目の中でも簿記論と法人税の難易度が非常に高く、受験者の中にも心を折られた方は多いのではないでしょうか。さて、この税理士試験、毎年「当日まで何が起こるか予想もつかない」のですが、今回のコラムでは、思い切ってどうなるか予測を立ててみました。
合格率回復を見据えた問題が作成される？
まず、昨年の第64回税理士試験の合格率や傾向について振り返ってみましょう。
昨年の税理士試験の受験者は、41,031名。合格者数は6,909名と昨年対比で約8.2％減。また、合格率に関しても16.8％と過去5年間の中でもかなり低い水準となっていました。実は会計業界において税理士試験の受験者が減少するということは、少子高齢化が進む会計業界で問題視されており、「少しでも受験者を増やすべき！」「このままでは次世代の会計人が目減りするだけ！」と業界内からも意見が飛び交っている状況なのです。
このような業界の世論を反映し、税理士試験委員としても何かしらの対策を打ってくることが考えられます。実は2014年度の税理士試験は試験委員もメンバーが入れ替わった年であり、科目ごとの難易度や要求水準もバラバラであり、受験者や業界関係者からも厳しい意見が上がっていたようです。そういった状況を打開するべく、今年の税理士試験は試験内容や合格率に配慮した内容となるのではないでしょうか。
2015年度 第65回税理士試験は相続税の難易度に注目
今年は何と言っても相続税の難易度に注目です！
昨年は相続税の改正前ということもあり、非常に多くの方が受験をされたようです。しかも、この相続税、意外とシンプルな問題が多く「比較的解けた！」「簡単だった！」という方が多数、結果的に“一つのミスが命取り”になってしまいました。この相続税ですが、2015年に改正されており、今年の試験内容にも少なからず影響があるのではなかと思います。
ちなみに、これは筆者の独断と偏見による予測ですが、今年の相続税法は難易度がUPするのではないかと思います。 と言うのも、相続税の改正ポイントは既に明確になっていますし、焦点となる箇所と対策は専門学校でも十分に研究されていると思うのです。そうなると、あとは理解度の差で明暗が分かれることになると思うのです。今年の相続税法は、恐らく論述の精度がポイントになるでしょう。
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不可解な動きを見せる税理士試験・・・やはり今年も波乱か？
毎年何かしらの波乱がある税理士試験ですが、筆者としては“波乱あり”と見ています。
まず、今年に関しては試験日程が例年よりも後ろ倒しであり、実施はまさかのお盆後。試験初日は8/18（火）となっています。また、試験会場の発表も例年より遅く「一体今年の試験はどうなるの？」と不安になった方も多いようです。しかも東京都内の試験会場に関しては、毎年恒例の早稲田大学を除けば、ほぼ初めて会場に選ばれた施設が多くその理由も定かではありません。このように試験前ですら幾つかの不可解な動きを見せる税理士試験ですので、今年も一波乱あるのではないかと思います。
就職・転職市場において、税理士試験日後ろ倒しの影響は？
今年の税理士試験は日程が後ろ倒し、そして会場も今までとは異なるというトリッキーな動きを見せていますが、試験後の就職・転職市場に影響はあるのでしょうか？ その問いに関しては、「それほど影響は出ない」というのが筆者の見解です。現在の会計業界では経験者の採用が思うように上手く進んでいない事務所も多いため、夏の税理士試験後も積極的な採用活動が継続されると見ています。ですから、夏(8月)の就職・転職活動で内定が取れなくても焦ることはないと思うのです。
むしろ、会計業界の求人市場は9月に面接～内定の山場が訪れることが予測されますので「8月に良質な情報収集をしておき、9月にはいかに具体的なシナリオを持って転職活動するか」がポイントとなります。今年の就職・転職市場はスタートダッシュの速さではなく、精度の高い業界研究(応募先の研究も含む)と冷静な判断力が明暗を分けるポイントとなるでしょう。
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（文／シニアコンサルタント）
