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【コラム】各地の国税局も拡大予定の「デジタルフォレンジック」とは?

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【コラム】各地の国税局も拡大予定の「デジタルフォレンジック」とは?

国税庁の発表によれば、同庁は5月19〜20日の二日間、全国国税局調査査察部長会議を開催しました。この会議では、調査課関係において税務に関するコーポレートガバナンスの拡充など、調査以外の手法の活用について意見交換が行われたようです。
一方、査察課関係では、「デジタルフォレンジック」用の機材を各局に追加配備することが報告されています。

さて、最近耳にするようになったこの「デジタルフォレンジック」とは、いったい何のことかご存知ですか? フォレンジック(forensic)は、もともとは「法廷の」「法医学の」「科学捜査の」という意味です。
分かりやすい日本語にするなら、刑事ドラマなどに登場する「鑑識」といえば、ピンと来る方も多いのではないでしょうか。これに「デジタル」を足し「デジタル鑑識」といえば、さらに想像しやすいかもしれません。

「デジタルフォレンジック」は、あらゆる犯罪捜査や法的紛争などで、パソコンやサーバ、ネットワーク機器、携帯電話、情報家電などのデジタルデータを対象に、証拠の抽出や、破壊・消去された記憶装置の復元を行うことです。その法的な証拠性を明らかにする手段や技術の総称です。

「デジタルフォレンジック」の活用例

過去に、とある上場企業の内部監査で不正会計疑惑が浮上しました。
組織的な粉飾決算なのかを調査するために、関与した可能性のある社員全員のパソコンを回収し、削除された電子メールの復元を行うためにデジタルフォレンジックツールを用いることになりました。すると、役員による粉飾指示があったことを裏付ける電子メールが検出されました。疑いをかけられていた一部の社員は、デジタルフォレンジックツールのおかげで、まったく関与していないことが判明したそうです。

また国税庁の報告によれば、2014年に処理した査察においてデジタルフォレンジックツールを使用したところ、削除されたデータや書き換えられていた架空の領収証のデータを発見したという事例もあったようです。

「デジタルフォレンジック」の限界

万能で便利な「デジタルフォレンジック」にも、限界があります。
さまざまなデジタルデータを解析するものなので、もし解析したい古いデータの保存先がクラウドサービスであるとすると、データが膨大すぎてそのデータの保全や分析ができない場合もあります。
また、保存先が個人所有の携帯やスマホ端末の場合は、利用者の同意を得ない限り、アクセスができません。
そして多くの人や企業は、パソコンがウイルスに感染して情報漏洩などにならないように、何らかのセキュリティ対策を施していると思います。しかし、そのセキュリティ設定の高さが「デジタルフォレンジック」の作業を難航させてしまう場合もあるようです。
例えば、ハードディスクが暗号化されていると、消去されたデータについても暗号化された状態になっています。そのため、暗号化されていないハードディスクと比較すると、消去データの復元が困難になってしまいます。

「デジタルフォレンジック」は、削除されたメールやファイルを復元することができる魔法のような技術のように思えますが、現時点では、どんなデータでも解析できる訳ではなさそうです。
上記のような限界も理解した上で、活用を検討する方がよさそうです。

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