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【トップ会計人が語る】IFRS導入に伴い、人間力が求められる時代へ。

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東京・千代田区 株式会社JBAホールディングス
グループCEO  公認会計士
永川 顕司氏

旧中央監査法人・国際部(C&L)出身。
大手金融機関グループのSEC上場準備対応プロジェクトにアドバイザリーとして参画。
日本・米国・国際会計基準に精通しており、米国SOX法やJ-SOX法など幅広い知識を持つ。

貴社の成り立ちや事業の強みについて

nagakawa1-thumb-150xauto-40 資本市場のグローバル化により、日本企業が海外で起債したり、日本の証券市場に外国人投資家が投資をするようになり、日本の会計基準も世界的な会計基準と同等であることが要求されるようになって来ました。このため、日本の会計基準は、複雑化・細分化し、従来企業が自ら行っていた決算業務についても、会計の専門化によるアドバイスが今まで以上に必要となる時代に変わってきました。以前は会計監査人が決算作業にかなり踏み込んでアドバイスを行っていましたが、米国における2001年のエンロン事件を期に監査人の独立性が問われるようになり、会計監査人が具体的なアドバイスを行うことが難しくなり、会計監査人以外の会計プロフェッショナルがによる決算作業の支援が必要となると感じ、2006年にジャパン・ビジネス・アシュアランス株式会社を設立し、会計基準コンバージョン(会計基準差異転換作業支援)を中心として事業をスタートすることになりました。

 会計基準のコンバージョン業務を「財務アドバイザリーサービス」のコア事業として特に米国基準、IFRS(国際財務報告基準)を主体とした幅広いサービスを展開しています。それだけに限らず、会計業務の周辺業務(「内部統制アドバイザリー」「M&Aアドバイザリー」「税務アドバイザリー(JBA税理士法人)」など)も含め、幅広く様々なソリューションを提供しています。

 JBAグループは、個人のノウハウを最大限活用するだけでなく、組織の総合力をクライアントに提供できるサービス体制を構築しています。洗練された「ノウハウ」とそれを実現できる「人材」、そしてそれらを展開する「ネットワーク」を最重要視し、この三要素を兼ね備えた真の専門家集団を目指しています。

日本企業におけるIFRSの現状

futari2-thumb-150xauto-45 証券市場はグローバル化し海外の投資家抜きには語れなくなっています。そういった投資家にとって企業価値を評価する手段としての「財務報告」を同一の会計基準で作成する要望が非常に強くなってきています。また、もう一つの背景としては財務報告の作成コスト軽減という理由が考えられます。グローバルに展開する企業にとって、考え方の異なる各国の会計基準を親会社の会計基準に統一するために、各国でコンバージョンしていては、大変な作業コストが発生します。その為、一つの会計基準をもとに財務報告を作成することは、企業の作成コスト負担を減らすことができると言われています。このような市場と企業の要求は、会計基準もユーザーにとって扱いやすいよう、世界共通の基準に統合されていくのは当然の流れとなり、これは例えば1990年代にITプラットフォームでWindowsが主流になっていったのと同じように感じます。

 日本ではIFRS(国際財務報告基準)の導入において、2012年にはその方向性が決まってくるといわれています。2012年に適用における方向性が出て、2015~2016年が一つのターゲットイヤーになると言われていますが、企業側もタイムフレームが決められている中で、遅くても2012年中には何らかの手を打たないと、その後の状況が逼迫してしまうのを予想している事かと思います。そのため、一昨年前に比べて、ここ一年では企業側のIFRSに対する関心の度合いも確実に変わっています。IFRS導入を想定した際のインパクト分析の依頼など、ご相談をいただく件数も日を追うごとに増えております。

 現在、IFRS導入に積極的に動いている企業は、システムの変更を近々考えている大企業やグローバル展開している企業です。これらの企業は、システム変更・改訂をIFRS導入のインパクトを考慮しながら進めていかなければなりません。また、グローバル展開している企業は、これを機に、会社経営管理体制(グループ統一化、基幹システム統合化など)を大幅に見直したり、IFRS導入を企業変革の機会と捕らえて、積極的に取り組んでいるように思います。

IFRSのこれからと、公認会計士に求められること

nagakaw3-thumb-150xauto-41 会計基準がIFRSに移行することにより、決算報告の内容も変わってきます。これまでは過去の事実・数字を積み上げる会計であり、それについて正確に開示すればよいという時代でした。一方でこれからの会計というのは、将来の事象を鑑みて評価していく、つまり、既存の資産をどう投資・運用し、企業としての価値をどれだけ高めたかという視点での情報開示が求められる時代へと変わってきます。

 ではその「将来の事象」というのは誰が知っているのでしょうか?それはまさに現場でその事業を遂行している現場の方になるわけで、これからはそういった現場の方々から多くの情報を聴き取る能力が必要となってきます。公認会計士として、専門的な会計知識があることは最低限のラインと言えますが、上記のように現場の方から、必要な情報を聴き取る、ヒアリング能力が必要とされてくるのではないでしょうか。会計監査に携わっておられる公認会計士の方は多いかと思いますが、「Audit」という言葉は本来、「聴く」という意味です。聴くということは、監査業務だけではなく、コンサルティング業務の中でも、非常に重要な能力なのです。

 聴き取る力は、各現場で本質を理解しクライアントが何を求めるかを感じ取ることや、それに対してどういうソリューションを提供出来るかを判断し提供することの基であり、これからの公認会計士にとって今まで以上に求められるものと考えています。

カイケイ・ファンをご覧の皆様へ一言

 IFRSだけの話をすれば、財務会計や語学力といったキーワードが出てきますが、IFRS以外にも会計には色々な、例えば管理会計だったり、内部統制の構築だったりという分野があります。そして、人によって目指す公認会計士像も様々だと思います。監査という外部の視点を持った公認会計士もいれば、企業を内部からサポートする公認会計士もいます。監査法人では財務会計と監査に特化したプロフェッショナルを目指しますが、企業での経験を積めば組織全体を見渡すことができるゼネラリストを目指すことも可能です。
 公認会計士という資格は、資格取得がゴールではありません。資格取得の先に目指すものを見つけ、それを目指して自分を磨き続けることが必要なのです。公認会計士の方、もしくは目指している方で、まだ自分の目標が見つかってない方がいるのであれば、まず自分に何が出来るかを考え、自らの志向性をしっかりと見定めた上で、目指すべき目標をお決めになると良いのではないでしょうか。
 そんな皆さんと一緒にお仕事をするのを楽しみにしています。
(2011年2月14日掲載)

※今回のインタビューは、同社マネージングディレクター 公認会計士 / 脇一郎氏にもご協力頂きました。

株式会社JBAホールディングス

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