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【トップ会計人が語る】”会計事務所”から”経営事務所”へ 経営者にとって必要とされる会計事務所になるために

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東京・中央区 税理士法人FIS
代表社員 税理士
古尾谷 裕昭氏

明治学院大学経済学部を卒業後、税理士事務所、公認会計士事務所に勤務し、 特に中小企業に対して税務を基幹業務とし、MAS業務等によるサービスを含めた税務・会計・経営のサポート業務に従事し、勤務期間中に、税理士試験5科目に合格して、税理士登録。その後独立開業。2006年9月に台東区の経営アドバイザーに就任し、地域の中小企業にも積極的な支援活動を行なっている。

創業5年で法人顧問先400件を達成。新しい会計事務所を作るために、日々、事務所経営に奮闘中。

自らの技術を提供できる仕事に就きたいと考え税理士を目指す

 私が税理士を目指したきっかけは、子供の頃に自らの技術を持つ職人へ憧れを持ったことです。私の地元が浅草であり、親が職人をしている友人がたくさんいたため、漠然とサラリーマンになるよりも自らの手に職をつけて働いてみたいと思ったことが税理士を目指すスタートでした。大学時代には手に職をつけることが出来そうな仕事にはいろいろとチャレンジしてみましたが、最終的に『税理士』という資格に興味を持ち、資格取得を目指すことにしました。

 大学卒業後は、税理士試験にチャレンジしながら、最終的には3つの会計事務所に勤務させて頂き、税理士資格を取得しました。その後、かねてからの夢であった独立を実現するために古尾谷会計事務所を設立しました。独立までに勤務した会計事務所では、記帳代行や税務相談などの一般的な会計事務所業務やMAS業務、株式公開コンサルティングなどを経験させて頂き、良い経験を積むことができたと思っています。

「顧客の売上拡大に貢献できる会計事務所」を設立、TIPで会計業界全体の発展も目指す

 独立後は、「このような会計事務所を作りたい」というアイデアはいくつかありましたが、その中でも特に意識していたのは「顧客の売上拡大に貢献できる会計事務所を作る」ということでした。経営者の方々には、「売上拡大」「利益創出」「資金繰り」という3つの目的がありますが、そのうち会計事務所がサポートできるのは「利益創出」「資金繰り」であるため、「売上拡大」に関するアドバイスを行える会計事務所があればクライアントにもっと必要とされるのではないかと考えていました。そのため、会計事務所設立当初からwebコンサルティング会社を設立し、「売上拡大に貢献できる会計事務所」ということをコンセプトにクライアントの売上拡大を支援できる体制を整えました。それ以外に特別な施策を打ったわけではなく、会計事務所としてクライアントの自計化を行い、毎月訪問するというスタンダードなサービスを提供しつつ、事務所内の書類の電子化などIT導入を進めるなど、まずは会計事務所として当たり前のサービスをしっかりと提供することからスタートしました。その後、いろいろと苦労はありつつも、顧客の売上拡大を支援する戦略やwebマーケティングを活用した新規顧客開拓がうまく行ったことなどから会計事務所は順調に拡大し、2008年9月に税理士法人FISを設立しました。

 また、税理士法人FISの運営と並行して、現在では株式会社タックスイノベーションを設立し、『TIP(タックスイノベーションパートナーズ)』のブランドで会計事務所向けの経営支援事業も行っています。 会計事務所が会計事務所向けに経営支援を行っているというと、珍しいと感じられるかもしれませんが、税理士法人FISではインターネットで「会計事務所」のキーワードで検索すると1位に表示されるサイトを持っており、これを活用すれば会計業界の発展に貢献できる事業を展開できるのではないかと考え、TIPを設立しました。当初は、税理士法人FISの顧客開拓のために検索で1位となるサイトを作ったのですが、「会計事務所」のキーワードでサイトに来る方々は会計事務所業界の総合的な情報を求めており、従来の自社のwebページではその期待に応えられていないと感じていました。そこで、検索順位の高いwebサイト(ドメイン)をもっと活かして、社会性の高い事業ができるのではと考え、タックスイノベーションの設立に至りました。もちろん、最初は自社の成功ノウハウを他の会計事務所に公開することに抵抗はありましたが、今はノウハウを公開することに抵抗はなくなりました。経営者が税理士に期待することが記帳代行だけにとどまらなくなってきている現在、TIPのノウハウは多くの会計事務所から求められており、「このノウハウを提供すれば会計事務所業界の価値をもっと高めることが出来る」という気持ちが、自然とTIPの設立やノウハウの公開につながって行きました。

今後の会計事務所業界について ~『会計事務所』から『経営事務所』へ~

 会計事務所に限らず、士業全体に言えることですが、会計事務所は日本経済全体と連動性の高い業種ですので、日本経済が徐々に縮小していく現状では、顧客となる中小企業の業績が厳しくなり、それに連動し会計事務所に対する顧問料も下がり、会計事務所業界全体が厳しくなっていくことが予想されます。

 そのような中で、大手の会計事務所は会計事務所同士のM&Aによって拡大するでしょうし、個人経営の会計事務所や小規模な会計事務所は地域に密着して生き残っていくかと思います。逆に、中規模の会計事務所はしっかりと特徴を出せなければ厳しくなるのではないでしょうか。また近年では、一般企業と提携し、新たな関係を構築してビジネスを展開していくような会計事務所も見られますし、会計業界全体としていろいろな変化は見られます。しかし、私はそう言った細かい変化が起こっても、今のままでは会計事務所業界は本質的に変わらないと考えており、そこを変えていく必要があると強く感じています。

 特に、現在の会計事務所業界では、会計事務所が提供しているサービスと、経営者が必要と感じているサービスの間に差があるケースが多く、残念ながら多くの経営者の税理士に対する期待値が薄いのが実状です。会計事務所業界が発展していくためには、まずこのギャップを埋める必要があるのではないでしょうか。

 そのために『会計事務所』は『経営事務所』へと変わっていく必要があると思っています。
会計事務所のサービスは「税務・会計」ですが、記帳や税務申告書作成は「記帳代行」「税務申告代行」と呼ばれ「代行業」の要素が強いサービスです。しかし、単なる代行作業であれば、そこに付加価値はなく、顧客は安い会計事務所に流れてしまいますし、実際に会計事務所業界でも「価格競争」や「マーケティング競争」が激化し始めています。もちろん、競争があることは良いことですが、ただこれを続けるだけでは業界の発展にはつながりません。本当の意味で会計業界の価値を高めるためには、業界が価格競争ではなく、サービスのクオリティや付加価値で競争できるようになることが重要だと思います。私がTIPを設立した背景には、『会計事務所』が『経営事務所』になるためのノウハウを提供し、会計事務所のサービスの発展を後押ししたいという想いもあるのです。会計事務所が『税務会計の代行業』から脱却し、中小企業の経営者への情報提供や経営アドバイスを行える『経営事務所』へと変化し、経営者のニーズに応えるサービスを提供していくことが業界全体に必要とされていることではないでしょうか。

カイケイ・ファンをご覧の皆様へ一言

これから会計事務所業界を目指すみなさんや、現在、働いているみなさんには『税務・会計』だけではなく『経営』に興味を持って欲しいと思います。また、会計事務所という仕事を好きになり、プラス思考で仕事を楽しんでもらいたいとも思います。

会計事務所の仕事は経営者と共に働く仕事です。個性豊かな経営者の方々と接していくことは決して楽ではありませんし、時に厳しい要望を受けることもあります。そのため、会計人は仕事に対してプラス思考で取り組めるかどうかが大切だと思います。また、税務や会計だけでなく、中小企業の経営者が必要とする経営情報、例えば新規顧客の情報や、新規事業のアライアンス先候補の情報といった、会計事務所のネットワークを生かした情報提供していくことなどが求められます。中小企業の経営者が必要とする情報を提供できる、最も身近な存在が顧問税理士ですから、私たちが提供する情報は経営者にとって非常に重要なのです。『会計事務所は経営者にとっての情報の発信地である』という認識を持って『経営者に必要とされる税理士』を目指して頂きたいと思います。

(2012年7月27日掲載)

税理士法人FIS

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