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【シリーズ 資格プラス@】 第1回  稼げる税理士、稼げない税理士

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一昔前と違い、税理士や公認会計士の資格を取得しても、サラリーマンより稼げるとは限らなくなった。リーマンショック後の不況で、大手監査法人の一部では会計士のリストラも行われた。税理士も厳しい。少し古い数字だが、日本税理士連合会が2004年に開業している税理士を対象に行ったアンケートでは、「税理士は高収入」のイメージがある中で、所得額が「300万円未満」という回答が最多の24%を占めた。

先進国で最も低成長が続く日本経済。クライアントである企業の台所事情の悪化は、税理士にとって苦境を意味する。しかしその反面、厳しい状況を生き抜き、独立・開業に成功し、着実に事務所を拡張させている税理士もいる。稼げる税理士と稼げない税理士の違いは何か。税理士試験受験者にとって気掛かりな点を掘り下げていくと意外な「落とし穴」がある。

「自分は営業が苦手だから、税理士の資格さえ取れば道が開けると誤解している人が多い」。都内で独立開業して7年目の30代後半の税理士は、職員採用の際に若手の税理士をみてそういう印象があるという。そういう彼も実は、税理士を志したのは、「自分が会社勤めに合わない」と思ったのがきっかけだった。大学卒業後、中堅商社に就職したが、すぐに退社。一念発起して税理士を受験し、4年で合格した。資格取得後は大手税理士法人で数年の実務経験を積んだが、やはり独立志向が強く、親しかった税理士仲間と共に事務所を設立した。その後、1人で事務所を構え、現在は7人の職員を雇用。100社を超えるクライアントを抱えるまでになったが、当初は「食べていけるか」というプレッシャーとの闘いだった。税理士法人時代から付き合いのあった企業数社と顧問料契約を何とか締結。「まずは”太い”お客さんを得るのが重要。その頃は時間もあったのでお客さんの会社に頻繁に顔を出して付きっきりで面倒を見た」。試行錯誤を重ねる中で見えてきたのは、「結局お客は個人に付くもの」。顧客の悩みに真摯に向き合うといった、一般のビジネスパーソンと同じ基本的な姿勢が大事だったことを思い知らされた。

前述の税理士は「どの税理士も決められたルールで業務をこなすので仕事の中身では差別化はできない。だからこそ自分の売りは何か見極めることが大切」と強調する。例えばIT業界に勤務経験があれば、著しい市場変化にさらされるIT企業の事情を理解した上で顧客に接することができる。生き残るために「サバイバル」ができる税理士となるには、専門的な知識だけではなく、一般のビジネスパーソンと同様、コミュニケーション能力や営業力、マーケティングの能力経営的視点などが必要であるようだ。

 

シリーズ「資格プラス@」では、「稼げる」税理士や会計士を目指す人を対象に、資格「以外」にも必要なビジネスパーソンとしての知識や知恵、ノウハウを随時掲載していきます。

【関連シリーズ】
【シリーズ 資格プラス@】第2回 アタマをクールに回転させる方法(上)

 

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