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【コラム 会計士Xの裏帳簿】決算書で性格が見える!

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「今日は後輩が生意気でムッとした」「尊敬する先輩からプレゼントいただき、嬉しいなう」―。SNS全盛のご時世、友人のツイッターやフェイスブックの内容を見ていると、本人は知ってか知らずか、かなり性格が出ています。また、頻繁に書き込む人や全く書き込まない人に分かれるのもそれぞれの性格だなと思ったりします。

実は、決算書と呼ばれる財務諸表もSNSと同じく、会社や経営者の性格が出るといったら驚かれるでしょう。たとえば、最近、月9ドラマ「PRICELESS」で、木村拓哉が魔法瓶メーカーの、藤木直人が家電メーカーの社長をそれぞれ演じていますが、キムタクの会社は、藤木君の会社が撤退した魔法瓶の製造事業を再生させてモノづくりにこだわっています。一方、藤木君の会社はリストラを強引に進めています。残念ながらドラマの世界のことなので両社の決算書を見ることはできませんが、性格や成り立ちが全く違う設定上、コストの掛け方や投資配分は特徴が出ていることでしょう。

さて今度は、私が見てきたリアルの決算書のお話です。決算書に性格が表れるのは中小零細企業から大企業まで、例外がありません。経営者がどんどん利益を出して、なるべく従業員に対して給料を払う方針だとすれば、経費を最小限に抑えて人件費が増えていきます。節税をしたい企業は、損金算入や税額控除になる事項を網羅的に捕え、日常からその対策を打つので、例えば研究開発費や交際費等が増えていきます。在庫を減らして資金繰りを改善させようとしている会社と、万一に備えて在庫を持っておこうとする会社の決算書は自ずと異なります。

例を挙げればきりがないですが、決算書には経営者の意思が如実に表れます。従って、会計監査をする上で、また税務書類を作成する上で、会社が作成した財務諸表が正しいかどうかを見極めるための一番の方法は、経営者と上手に対話し、経営者の性格を知ることになります。営業マンの心得のようなことを言っていますが、会計士の実務の重要ポイントとして真っ先に挙げたいところです。細かい会計基準を知っているとか、隅から隅まで税法を熟知しているというスキルは二の次です。

会計の勉強をすると同時に、いかにうまく経営者と話せるかということを考えることは大切です。コミュニケーション能力を磨くことを常に心がけてください。時には勉強をしない日を作り、人はどのようにすれば気持ちよく話すのだろうかということを考えて実践する日にしてもいいのではないでしょうか。

ちなみに、釈迦に説法かもしれませんが、監査を英語で言うと「AUDIT」。これは、もともとの意味は「聴く」ことです。このことからも経営者との対話の重要性が分かりますね。

 

新企画「コラム 会計士Xの裏帳簿」は、40代の会計士が自らの体験を基に会計士の志望者へのアドバイス、仕事の面白さや実態などをお伝えします。

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