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【コラム】 「デジタル失業時代」に生き残る税理士、会計士

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「IT世界の最大の被害者は中流層だ」――。
そんな刺激的な見出しが躍ったのが東洋経済(2013年3月2日号)。米国のIT業界研究者がインタビューで、IT革命によって米国の中流層、特にホワイトカラーが次々と職を失ってきた現実を指摘している。

日本はバブル崩壊後に不況が長引いたといっても失業率は最大でも5%台。しかしIT先進地の米国は10%近くに上り、イタリアやフランスも欧州危機の影響で90年代のように2ケタ超えが続きそうな気配になっている。IT化やグローバル化の波を受け、新たな失業につながる動きが顕在化しているのだ。東洋経済では、米国の凄まじい動向をレポートしている。弁護士や会計士、税理士がパソコンソフトに職を奪われ、あるいは税務や会計のデータ入力系の仕事がインドなどにアウトソーシングされているというのだ。米国はサラリーマンでも自分で所得を申告するので確定申告の時期には代行業者が賑わうのだが、そうした業者は海外の競合にコスト面で勝てないのが典型的な要因だ。

実際、日本でも会計事務員の数が2000年からの5年間で30万人も減少(同誌が国勢調査を基に調査)、会計ソフトやe-Taxが普及している。今はまだ日本人税理士、会計士の仕事を脅かすまでに至っていないとはいえ、グローバル化、技術革新は決して他人事ではない。

10年後あるいは20年後、デジタル化がますます進んでも生き残る税理士や会計士はどのような仕事をしているのか?確実に言えるのは、絶対に機械で代用できない部分の仕事で高い生産性や付加価値を生み出せる者だろう。その一例がネゴシエーション。税理士の場合、過剰な課税通知を受けたクライアントのために、税務当局と交渉するのも重要な役目だ。そういう仕事をこなすには税制の知識、税務の経験も要るが、落としどころを適切なタイミングで見出す交渉力といった「対人スキル」も磨かねばならない。

たとえば、プレゼンテーションや営業交渉ノウハウといったコミュニケーションの術を指導する講師やセミナーがある。こうしたプロの眼から見れば、あの橋下徹・大阪市長の交渉・宣伝巧者ぶりも分析される。松本幸夫著「橋下徹のかけひきで負けない話し方の技術」(総合法令出版)によると、橋下流話法からは「相手を自分のペースに引き込む」「かけひきで相手を納得させる」「不利な状況を回避する」などのパフォーマンスとテクニック、心構えが浮かび上がってくるそうだ。現役の税理士、会計士あるいは志望者の方々で、「人と向き合って話すのが得意でない」「いつも相手の言い分に負けてしまう」という人は、コミュニケーションのプロによる指導を受けるのも一手だ。

「デジタル失業時代」に生き残るには、今までの考え方にとらわれない発想で自分を磨く必要がある。

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