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【会計士Xの裏帳簿】決算公告が、会計人のビジネスチャンスに!

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2013年6月21日掲載

会計人にとって、4月から6月は繁忙期。多くの会社で事業年度が3月で終了することから、決算や税務申告業務に追われ、忙殺される日々が続きます。

そして、総会で決算承認をされた後に行うのが「決算公告」です。株式会社の決算公告は会社法で定められた義務であり、怠った場合の罰則規定もあります。また上場企業や店頭公開会社等には金融商品取引法上の有価証券報告書の提出も義務付けられています。

中小企業の経営者は、この決算公告の義務の原則を聞いて居心地の悪さを感じる方が多いでしょう。理由は言うまでもなく、公告を行っていない会社が非常に多いからです。同族企業は、投資家等へ有益な情報を伝える公告に意義を見出すのは難しいところがあります。「取引先や顧客に会社の財務内容を知られたくない」という本音も見え隠れします。

費用もネックになります。公告は、官報あるいは日刊新聞紙によって行うことが定められていますが、官報に貸借対照表の要旨を掲載するには、最低限のスペースである「2枠」で59,126 円がかかります。日刊新聞となると桁違いに高くなり、例えば日経新聞に公告を出すには、76万円(2段6分の1)もの出費になります。

「すべての会社が公告すれば官報が百科事典より厚くなりますよ。中小企業が公告を行うことは、もとより想定されていない」とうそぶく経営者もいます。義務を逃れる言い訳にはならないでしょうが、妙な説得力があるのも事実です。

しかし、この理屈が通りにくくなる変化もあります。2005年に、インターネットによる決算公告が認められました。自社サイトでの公告であれば、それ自体に費用はかからないでしょう。また、帝国データバンク等の民間企業でも、低価格でネット上での公告スペースを提供しています。会社情報の公開という元々の理念に、IT技術が追いついてきた印象です。

会計人にとってもこの変化は見逃せません。外部の利害関係者への情報提供を目的とする財務会計と、税額を計算するための税務会計は異なります。財務会計の信頼性を担保にすることは公認会計士の本来的な役割ですが、文字通り税務会計の専門家である税理士にも、財務会計への知見が求められる機会が増えると考えられます。

中小企業の財務会計の会計基準はまちまちで、信頼性が足りないという指摘は昔からありました。そこで2005年、日本税理士会連合会、日本公認会計士協会、日本商工会議所、企業会計基準委員会が「中小企業の会計に関する指針」を策定、以降毎年改定されています。各金融機関が、日本税理士会連合会が作成した「中小企業の会計に関する指針の適用に関するチェックリスト」に準拠した会計を行う会社への融資制度を用意するなど、その存在は年々大きくなっていると感じます。

公告に関する制度改正が行われるたび「これでいよいよ罰則適用が厳格になるのでは」との憶測が浮かんでは消えています。しかし罰則に戦々恐々とするより、義務をプラスに転化し、資金調達や取引の信頼性確保のために財務会計を武器にする企業にステップアップすることが理想でしょう。会計人にも、中小企業への財務会計の啓発や決算書の整備、公告に関するコンサルティングにビジネスの種を探る視点が必要になるのではないでしょうか。

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