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【コラム】 東洋経済オンライン急浮上!ネットメディアの下剋上

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増える情報収集メディア

会計士や税理士のみなさんが情報収集に活用しているメディアといえば、日経新聞がその筆頭であろう。あるいは税理士新聞のような業界紙も購読されているかもしれない。雑誌では、週刊ダイヤモンドや週刊東洋経済あたりが中心だろうか。

20代、30代の若手だとネットからニュースやオピニオンを拾い読みしている人も多い。ソーシャルメディア、特にFacebookを使っていると友達が面白い記事を紹介していて、それを読んで気に入ったならば「いいね!」を押すことが日常的になってきた。また自ら、お気に入りの記事を投稿する人も。最近は過去の閲読歴を分析した上で自分の嗜好に合ったネット上のニュースを集めてくれるリーダーアプリがたくさんダウンロードされている。既に活用している方もいるだろう。

「東洋経済オンライン」急浮上の理由

さて、ネットニュース業界で近頃、「政権交代」が起きたことはご存じだろうか。
経済誌の部数がそのまま反映するように、長く「絶対王者」だったのが「ダイヤモンド・オンライン」。系列の週刊ダイヤモンドだけではなく、ビジネス書などダイヤモンド社が抱える潤沢なコンテンツを売り物に、2012年までは2位以下を時にはダブルスコアで引き離すほどのアクセスを集めていた。それ以外は、日経系列の「日経ビジネスオンライン」、講談社の「現代ビジネス」、プレジデント社の「プレジデントオンライン」、アイティメディア社の「Business Media 誠」などがひしめく状態だった。ところが2012年夏ごろから、2位以下の混戦を一気に抜け出し、ダイヤモンドの背中をとらえたダークホースが出現した。それが「東洋経済オンライン」。そして今年3月、とうとうページビュー(PV)でダイヤモンドを抜き去り、ビジネス誌系トップに躍り出てしまった。

東洋経済オンラインの急浮上の背景には何があったのか?
変化の兆しがあった昨夏、スタッフの若返りが断行された。それまで東洋経済本誌の編集部にいた佐々木紀彦氏が編集長に就任。当時33歳という若さは、ネットメディアでは珍しくないが、老舗出版社の主要部門責任者としては異例のことだった。それまでの東洋経済オンラインは、見栄えもコンテンツもネットユーザーを驚かせるようなものが少なかったが、デザインを大幅に刷新。記事についても、週刊誌本誌からの「お古」をもらうといった既存メディアにありがちな状況を改め、自前の記事を拡充。そのために無名ながら、将来有望なライターを発掘。いくつかのコラム記事がヒットを生み始め、やがて一か月のPV数が従来の10倍にまでなった。

ネットメディアで未来の「青田買い」

実際、東洋経済オンラインの書き手の顔ぶれを見ると、まだ知名度がなくても、あるいはジャーナリストではなくても新たな才能を見つけてこようという意欲を感じる。一番人気のコラム「グローバルエリートは見た!」の筆者、ムーギー・キム氏は海外で活躍する金融マン。政治経済からビジネス、時にはディズニー、プロ野球まで、引き出しの多さを感じさせながら、ユニークな視点で筆をふるう。佐々木氏の著書によると、この連載は半年で1000万PVを稼いだという。また、ソーシャルメディアの特性を生かした転職サイトとして注目されるウォンテッドの仲暁子社長や、現役高校生ながらデジタルクリエイターとして活躍しているTehuさんなど、ブレイク必至の有望株を片っ端からつかまえている。反面、ダイヤモンド・オンラインなどの競合は、すでにビジネス界である程度のキャリアを積んだ経営者や、エコノミストらの書き手が目立っている。会計士、税理士のみなさんがビジネスメディアで情報収集する理由の一つは、近未来の世の中の動向を占う上で参考になるからであろう。東洋経済オンラインと他ネットメディアの書き手の“新旧対決”を比較してみるのも面白い。

なお、東洋経済オンラインでは、会計士や税理士が寄稿している記事もある。東洋経済新報社から本を出している方が中心だが、ネットでの広がりも考えると、独立開業されている会計人の方は、同社から著者デビューを狙って、出版エージェントに接触するなどのブランディング戦略を練ってもいいかもしれない。

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