会計業界の業界動向・トピックス

会計業界トピックス

【会計士Xの裏帳簿】消費税の増税決定、「1000円カット」店主の憂鬱

会計業界トピックスの一覧へ戻る



増税の影響はどう出るか

消費税の増税が正式に決定しました。9月までの経済指標の数字とそれに伴う「空気感」、また増税が国連演説などで国際公約的な扱いになっていたことから、すでに覚悟を決めていた人も多かったのではないでしょうか。

ほぼ全ての商品に課税される消費税ですから、家計への影響は必至です。そして下請事業者にとっては、価格に増税分を転嫁できるかという深刻な問題がすぐに浮上します。はっきり言ってしまえば、表面化するか否かはともかく、相当数の違反事例が出るはずです。

100円ショップの苦悩

最終消費者から直接代金をもらう業種の方々も、値上げに躊躇するでしょう。100円ショップや回転寿司、「ワンコイン」を売りにした業態のお店は選択を迫られます。一部の100円ショップで、消費税導入時や5%への増税の際「100円」を据え置きにすることを売りにしたところがあったことを記憶している方も多いでしょう。

明確な法律違反である下請への価格据え置きと違って、小売の価格据え置きは経営判断ですから、この2つを同一視はできません。しかし悩みの種は同じです。「値上げをするとお客さん(取引先)が離れてしまわないか」ということです。

据え置きを決めた際は、なお問題が待ち構えています。不透明ではありますが、来年以降、消費税率は10%への引き上げを予定しています。このタイミングで方向転換しておかないと、より苦しくなることも予想されるのです。

1000円カットの床屋政談

私には行きつけの「1000円カット」のお店があります。そのマスターとは、ここ最近、来店するたびに消費税増税の行方についての話題になっていました。文字通りの「床屋政談」ですが、実際の経営への影響についての話になると、かなり切実です。

その店は「千円札一枚のカットハウス」といったキャッチを使っています。千円札しか入らない自販機で券を買うシステムで受付機能を簡素化し、コストを低減しています。消費税を転嫁すればコンセプトにブレが出ますし、券売機のシステム変更も必要です。「この形態はそのまま続けるべきだろうか」とずっと思案しているようです。

とても腕の良い美容師さんのため、「消費税を価格に乗せても、お客さんは離れないと思いますよ」とはいってみたものの、それはあくまで客としての私見。私は通い続けても、ほかのお客さんの動向については保証の限りではありません。

ひとつの提案として、回数券の発行も提案してみました。値上げはしつつも、例えば5枚綴りの回数券を5000円で発行し、1回1000円のコンセプトを保ちます。回数券の前払い効果で、キャッシュフローが改善しますし、リピート率の上昇につながる可能性もあります。

会計人の役割を果たせ

とはいえ、私はその店の経営状態を詳細に見ているわけでもなく、やはり自信はありません(単に私が回数券を使いたいだけなのでは、という気もします)。「顧問税理士さんとよく相談してみては」と逃げを打ってしまった自分に忸怩たるものがありました。

増税により、当然会計人が行う税務には大きな変化があります。しかし、それ自体は単にテクニカルな問題です。顧問先を守るべき会計人には、増税による客離れという現実問題に直面する社長たちに、実のあるコンサルティングを行う役割が期待されます。税額と違って答えが見えない問題に、私たちも頭を悩ませることになりそうです。

ページの先頭へ

業界動向
転職・求人情報
個別転職相談会・セミナー
カイケイ・ファンについて

プライバシーマーク