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【コラム】「会計士は経営コンサルができない」某女性税理士への反論

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「コンサル不能」~ある女性税理士の問題提起

筆者はしばしば、会計士や税理士が時には経営コンサルティングの領域の仕事を請け負うことを見据えて当コラムを書いてきた。

独立して高収入を得ることを目標に置いている読者も多いので、できればコンサル業務をするように研鑽を積んでいただくに越したことはないと感じているし、独立こそしなくても会計・税務の本業にとどまらず、ビジネスやマーケットの動向を広い視点で考える材料になればと思い、筆を執ってきた。

ところが先日、ネットで調べ物をしているうちに、あるブログに出会ったことで考えさせられてしまった。書き手の方が匿名なのでリンク紹介は控えるが、プロフィール文によると、女性税理士だという。このブログの筆者が2年前の6月にエントリーした記事によると、税理士や会計士には経営コンサルができないのだという。

ここでの趣旨とは、税理士や会計士はあくまで会計や税務の専門家であり、せいぜい財務面から経営を診断できるに過ぎないのだという。

かといって税理士や会計士がカバーできないほどの知識が必要なのかと言うと、そうではなく、財務の知識がある人間なら誰でも可能というわけだ。たしかに中小企業診断士でも財務の知識は備えているし、資格を持っていない人間でも金融機関などの経験者なら対応することができるだろう。

ブログでコンサル業務を全否定

もうひとつ、このブログで目を引いたのは、コンサル業務そのものを根本的に否定している点だ。実際の文面をご紹介できないのが残念だが、世界的な経営コンサルタントが新聞に寄稿していたコラムから、コンサルタントは通常、実際に企業を経営したことがないのに高いフィーを巻き上げているとする辛辣な論評を紹介している。

そういう主張も踏まえて、彼女の見立てでは財務“しか”知らない会計士・税理士に経営コンサルが出来るわけがない、とも言いきっている。

たしかに、この女性税理士が指摘するように、会計・税務の知識と経営戦略を練るための知見は別物である。帳簿を見て、たとえばコストの内訳から無駄のうかがえる部分を抽出して、その改善策を提案することはできたとしよう。しかしコストカットだけでは利益を増やせても売り上げのパイを増やすことにはならない。

そうなると、全体の売り上げを伸ばすためのマーケティングなど攻めの戦略を練ることが必要になってくるわけだが、これは会計士・税理士にとって専門領域ではない。彼女は、大きな組織の経営経験のある会計人でなければコンサルは無理だとも強調している。

連続スペシャリストの時代へ

はっきり言っておこう。この税理士は少々、偏った自分の見方を押しつけている。いや、むしろ自分の経営センスの乏しさや勉強不足を棚に上げているのではないか。経営コンサルに必要な見識は、会計・税務とは異なる領分も多いのはたしかだが、だからといって会計人にコンサルが務まらない、と言い切るのは根拠薄弱も甚だしい。

筆者の知っている若手会計士は、まだ独立して数年でパートナーも数人程度ではあるものの、事務所を運営する傍ら、ベンチャー企業のCFO(最高財務責任者)も務めてその会社の経営に参画もしている。また、北海道在住のある税理士は、中小企業診断士、行政書士、宅建などの複数の資格も取得して経営支援の事務所を運営している。この事務所は先日のコラムで紹介した経営革新等支援機関としても認定されている。

2025年の働き方を予言した「ワークシフト」では、「ゼネラリストから連続スペシャリストへ」を第1のシフトとして指摘している。複数の専門的技能を習得して、スキルをハイブリッドした人材は、市場価値が高い。経営コンサルができる会計人が最強と断言するつもりはないが、生き残りを図る意味でも視野を広く持つ意味はあるのではないだろうか。

 (文/新田哲史=コラムニスト、記事提供/株式会社エスタイル)

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