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【コラム】不動産の価値は絶対ではない!「真実性の原則」との共通点

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不動産価値に対する大いなる誤解

筆者は、時々、公認会計士やその他士業等の前で不動産の価値に関する勉強会の講師を務めている。そのうち、公認会計士協会の継続的専門研修(CPE)で勉強会をする機会もあるだろうが、とにかくそういう勉強会等でお話をさせて頂くと驚くことがある。
それは、不動産の公正価値は「唯一不偏」なものであると勘違いされていらっしゃる方がとても多いということだ。
でも、実はそれは間違い。これについて考察してみたいと思う。

真実性の原則を思い出してみよう

公認会計士や税理士、もしくは公認会計士試験合格者や税理士科目の簿財を取得した方であれば、「真実性の原則」という言葉を忘れた方はまずいないだろう。<br/ >その真実性の原則には、会計の局面における真実とは、唯一不偏の絶対的真実ではなく、例えば見積もりの判断等、主観的な要素で一定の結果に対する幅が生じても、そのいずれもが真実とするという思考が流れている。
実は、「この幅がある」というのは、不動産の価値についても同様のことが言えるのである。

一方で、ある地域の土地の相場というものを考えてみると

例えば、会計帳簿にある土地が計上されていたとしよう。
ここでは便宜上、住宅地域に位置する標準的な規模・形状・道路付けの更地であるとする。この場合、不動産鑑定の立場から考えると、通常は周辺の土地の、不動産鑑定士用の取引事例の比較検討に基づいて土地価格を出すことになる。
ところが、周辺の土地の取引事例が、例えば、「その地域の土地の取引単価が全て500,000円/㎡」ということはまずあり得ない。
補正不要かつ比較可能な取引事例があったとして、
1、取引事例Aは480,000円/㎡、
2、取引事例Bは520,000円/㎡、
3、取引事例Cは490,000円/㎡、
4、取引事例Dは510,000円/㎡
というように、500,000円/㎡前後でも多少なりともばらつきがあるはずだ。
よほど特殊な背景でもない限り、あまり極端に高かったり低かったりする取引事例、前述の地域の取引事例で例えば2,000,000円/㎡とか、100,000円/㎡という更地の取引事例はないはずである。

結果、ある土地の価値にも幅が出てくる

その結果、取引事例A~Dの結果に基づくと、480,000円/㎡~520,000円/㎡が地域の取引相場となり、不動産鑑定士の判断によって、例えば取引事例Aの説得力が特に高いから480,000円/㎡を公正価値の単価と判断した上で仮に100㎡の標準的な土地であれば48,000,000円がその土地の価値と判断する考え方は一つの判断として認められる。逆に、取引事例Dの説得力が特に高いから520,000円/㎡を公正価値の単価と判断し、仮に100㎡の標準的な土地であれば52,000,000円がその土地の価値と判断する考え方もまた、一つの判断として認められるのである。
つまり、この土地の公正価値は、48,000,000円とも52,000,000円とも考える余地が出るのである。
勿論、これは簡略化した例であり、他にも様々な場面で不動産鑑定士の判断により公正価値に幅が生じる場面が出てくることはいうまでもない。

会計帳簿で不動産が計上されている時に・・・

このように、不動産の公正価値には、真実性の原則同様に、相対的な真実ともいえる性質がある点をご理解頂けたと思う。
読者の皆様も会計業務や税務業務の一環として、不動産鑑定士の鑑定評価書や価格等調査の書類をご覧になることがあるかもしれない。当然、そこには対象不動産の価値が明記されている。その結論は唯一不偏なものでは決してなく、相対的なものである点、ご理解頂くだけでも、業務に幅が出ると思うが、いかがであろうか。

(文/冨田建 公認会計士・不動産鑑定士、記事提供/株式会社エスタイル)

カイケイ・ファン ナビゲーターによるコメント

カイケイ・ファンナビゲーター 中園 隼人(MS-japanコンサルタント)

カイケイ・ファンナビゲーター
(MS-japanコンサルタント)
中園 隼人

不動産神話ですとか、土地神話といった言葉が過去のものになっていることは、頭では理解していながらも、やはり「不動産」という言葉には、その名の通り、価値が動かない資産といったような印象を持ってしまいがちです。

今後、時流的にも相続・資産税分野の業務が増加していくと思いますが、改めて会計・税務のスペシャリストの皆様におかれましても、不動産に対する考え方について、理解を深める必要性があるのではないでしょうか。

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