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【コラム】 創刊40周年を迎えた税理士新聞

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税理士業界の動きを伝えて40年

最近は、若い世代が新聞を購読しなくなっているようだが、94%の読者が継続して読んでいる新聞がある。その名もエヌピー通信社(本社・東京)が発行する「税理士新聞」。いわゆる「業界紙」である。私は一般紙の記者なので、業界紙のことはさほど詳しくなく、かつては税理士と疎遠だったので近年までその存在すら知らなかった(ごめんなさい)。しかしカイケイ・ファンのコラムを書くようになり、情報ソースとして読み始めたのだが、これが業界ならではの着眼点で面白い。そして、この春で1974年の創刊から40周年を迎えた。

創刊した年は時代の節目

日本の税理士制度自体の歴史は古い。日本税理士会連合会のホームページにその歩みが記載されているが、日清戦争勃発から3年後の1897年(明治30年)に原型が出来上がった。税務代弁人、税務代理士等の名称を経て、第二次世界大戦後の1951年に税理士法が制定されて現在のような業務として成り立ってきた。大学受験で日本史の戦後史を勉強した人なら覚えているかもしれないが、米軍占領下、米国の学者が日本の税制を調べて改革を提言した、いわゆるシャウプ勧告の影響が大きかった。

税理士新聞が創刊した1974年は、現在の会社法の前身にあたる商法監査特例法が成立した年だった。高度成長期のスピード感が落ち着いた頃で、戦後の国民的スターだった読売巨人軍の長嶋茂雄選手はこの年に引退。今年1月に91歳で亡くなった元陸軍少尉の小野田寛郎さんがフィリピンのルバング島から、戦争終結から29年経って帰還したのも同年。まさに歴史の節目を象徴するような年だったといえる。

税理士業界の見守り役

税理士新聞は、読者である税理士のためになる情報に徹している。記念特集号となった4月発行の5月15日号では、歴代の重大ニュースを紹介しているのだが、創刊まもない1974年12月25日号では、全国商工会連合会の幹部の問題発言を追求する動きを報じている。これは同幹部が新聞紙上で、税理士を商工会に派遣する仕組みについて「かせぎの少ない役立たずの人を送ってくる可能性がある」等と発言したことに対し、東京税理士会が申し入れを行った“事件”。業界ウォッチャーであると同時に、ジャーナリスティックな視点を持っていたことを感じさせる。最近も業務過重で、“ブラック企業”化する税理士事務所の労働実態を問題提起した記事は目に留まった。業界の見守り役として長年の問題意識があるからこその「特ダネ」だったと感じる。

独立した税理士へのマーケティングを助言する企画記事も掲載されているなど、実務強化も意識している。TPP交渉の結果、税理士資格の変容が起きるかどうか業界目線での徹底したこだわりもある。もちろん、業界論理の権化のような代弁者であってはならないが、時には愛ある苦言もできるような見守り役として、ご健筆いただきたい。

(文/新田哲史=コラムニスト、記事提供/株式会社エスタイル)

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