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【会計業界の転職失敗事例1】こんなに残業があるなんて聞いてない!

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会計業界において、転職はキャリア形成上のターニングポイントです。「スキルアップ」「ワークライフバランスの確保」「年収アップ」等、様々な動機・背景や希望があり、毎年多くの方が転職活動をされています。一方で、残念ながら希望通りの転職にならなかった方も多いのが会計業界。今回の会計トピックスでは、あえて転職失敗事例をご紹介し、転職活動の留意点などもご案内が出来ればと思います。

こんなに残業が多いなんて聞いてない!
~面接時に聞いた労働環境と明らかな相違がある~

【今回の失敗者】
Sさん、26歳/男性、税理士試験2科目合格 (簿記論 財務諸表論)
税理士2科目まで合格したSさんは、残りの税理士科目の勉強のため残業時間が少ない会計事務所への就職を希望し、就職活動をはじめました。

仕事と税理士試験の勉強を両立させるため、残業の少ない会計事務所に入社したい!

Sさんは大学卒業後、会計の専門学校に通いながら税理士を目指していました。最初は合格ラインに届かなかった税理士試験も徐々にコツを掴み、専門学校に通いはじめて3年目の試験で遂に簿記論と財務諸表論に合格することができました。
その後、Sさんは会計事務所での実務経験を積むために就職活動を開始、最初に内定が出た会計事務所に勤務をすることになりました。Sさんは残りの税理士科目合格のため、税理士試験を引き続き受験したいという思いがあり、面接時に“実務と試験勉強の両立”が可能であることを確認していたのですが、入社してみると実態はまるで異なっていました。

残業が少ないって聞いていたのに・・・、上司不在で慢性的な残業地獄に。

Sさんが入社した会計事務所は記帳代行の割合が多く、且つ一人当たりの担当件数も多い状況でした。新入社員のSさんとしては、日々顧客から届く領収書の束を仕訳し、会計ソフトに入力をすることが主な仕事でした。もちろん、上記業務は会計事務所では初歩的な仕事であり経験をしておくべき業務ですが、Sさんのように新入社員であれば仕事の進め方やポイント等、最低限の教育・指導は必要です。しかし、入社した会計事務所は職員の大半が若いスタッフであり、業務上の指導や監督をする上司がいなかったのです。その結果、Sさんの業務はなかなか捗らず、正しい知識を持たずに仕事を進めた結果ミスが多発、その対応に時間がとられて慢性的な残業に陥ってしまいました。因みに、通学していた専門学校の授業は平日夜間に受講することが難しく、現在では土日に振替をする形で対応をしているとのことです。面接時に「うちは残業が少ないので、試験勉強にも時間を割けますよ。」と聞いていただけに、Sさんは今回の就職はミスマッチだったと感じていました。

面接官の話を鵜呑みにしては危険!? 内定が出ても回答するのは慎重に。

Sさんは「試験勉強と実務の両立」を基準に事務所選びをしていましたが、最終的には自身の希望とはミスマッチな事務所を選んでしまいました。その原因は何処にあるのでしょうか。実はSさんが入社した会計事務所は、記帳代行比率が極めて高く、「作業」に費やす時間が多いタイプの事務所だったのです。それだけではなく、職員の多くは入社しても短期で転職してしまうため離職率の高さにも悩まされていたのです。仕事ができる経験者にとっては単純作業で残業も少ない業務内容でしたが、「ベテラン社員不在」「業務オペレーションが機能不全」「ミスが多く残業も増える」という悪循環の中、未経験のSさんにとっては苦しい環境であり、慢性的な残業地獄に陥ってしまったのです。

Sさんのように実務“未経験者”にとって、会計事務所の見定めは大変難しいものです。
特に面接の場で、残業が少ない、労働環境も良いという話を聞けば、それを信じて入社するしかありません。しかし、実際には面接で所長が話していた内容と実態が大きく乖離していることも珍しくありません。今回のようなケースを未然に防ぐには、上司となる予定の方、実際の仕事の進め方、顧客のイメージなどをしっかりと確認してから入社する必要があります。また、Sさんは複数社の面接を受験していましたが、結果を比較せずに最初に内定が出た会計事務所に入社した経緯もあります。慎重に就職(転職)活動を行うのであれば、各事務所の内定条件や労働環境など、可能な範囲でも良いので比較してから入社先を選ぶことをお勧めいたします。

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(文/シニアコンサルタント)

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