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「8月は会計事務所業界の最も転職しやすいシーズン」は本当か?

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「8月は会計事務所業界の最も転職しやすいシーズン」は本当か?

2013年に引き続き会計事務所では人材不足感が拭えず、今もなお、多くの会計事務所で積極的な採用活動が行われています。一方で転職市場の人材ニーズとは相反して、会計事務所出身者の人材流動性は鈍化傾向である、というのが現況です。このような転職市場では、「旧来の常識」は通用しません。もしかすると、あなたが思っている転職市場のイメージと実際の状況は大きくかけ離れているかも?!
そこで今回の会計トピックスでは、変わりつつある転職トレンドの一つとして、税理士試験前の転職市場とそのトレンドに注目してみたいと思います。

「8月は会計事務所の求人数が多い=最も転職しやすいシーズン」は本当か?

会計事務所の転職市場において8月は非常に重要なシーズンとなります。税理士試験が実施された直後から、会計事務所の採用合戦が始まる為、業界的には一時的に求人数が膨れ上がり、転職を希望されている方にとっては絶好のチャンスとなるのです。しかし、完全に売り手側有利となった転職市場では状況が変わってきます。それは一体どういったことなのでしょうか。以下、転職市場のトレンドを見ていきましょう。

“穴場”な転職時期は税理士試験前

この数年間を見ていると会計事務所の人材ニーズは高まり続けており、実際に採用活動は「夏」と「冬」に集中しようという事務所は減少傾向にあります。むしろ、他の会計事務所よりも優秀な人材を囲い込む為には時期に拘っていられないというのが本音なのです。8月の税理士試験後に多くの会計事務所が採用説明会&面接を実施するため、採用の競合となる事務所に内定者を奪われてしまう事も多発します。「今年こそ確実に人材を獲得したい」という会計事務所は、採用戦略の見直しを行っており、その戦略の一つとして“税理士試験前”に人材採用をしておこうという動きを見せ始めているのです。
また、税理士試験前の転職市場ではもともと動く人材も少ない為、良い人であれば採用基準も緩和されやすいという副次的効果もあるのです。

税理士試験前に転職活動を行うメリット・デメリット

上述の通り、「税理士試験前に人材採用をしていきたい」という会計事務所が増えています。その一方で、試験前に面接を受けるような人材は未だ少数派です。何故ならば、試験受験者は何よりも税理士試験を確実に合格することが最も大事なことであり、転職活動の為に「市場動向を把握⇒応募事務所を選定⇒面接を受ける」という負担は極力避けたいと考える方が多いからです。しかし、税理士試験後の転職市場は求職者数も多いため、実際はライバルとの競争率も高くなる傾向にあります。一般的な中小会計事務所であれば応募者もさほど多くないかも知れませんが、大手~中堅の税理士法人に関しては、応募者数も殺到するため、結果的には採用倍率が高くなってしまう傾向にあるのです。つまり、人気の会計事務所に転職をしようと思うのであれば、ライバルが少ないシーズンこそチャンスであり、即ち転職活動を前倒しすること自体がメリットとなるのです。
一方で、デメリットもあります。やはり税理士試験の対策には時間をかけて集中したいという方もいるでしょう。転職活動には時間と体力を要しますので、「勉強」と「転職」は両立不可能と感じる方はどちらかに軸足を置くべきでしょう。

大切なのはあなたが何を優先したいか

今回の会計トピックスでは税理士試験前の転職市場に注目をしてみましたが、あくまで試験前に転職活動を行うことを推奨するものではありません。やはり、自分自身が何を大事にしていきたいかが大切ですし、今回お伝えしたかったのは、あなたにとって転職が優先度の高いことであれば、今までよりも戦略的に転職活動を行っていく必要があるということです。
また、転職市場のトレンドは何年か経つと変わってしまいます。現在の売り手市場もこの先長く続くとは限りません。いずれにしても、大事なのは転職市場の状態を正しく把握することと、自分自身をどのタイミングで売り込むかの戦略・工夫でしょう。
今後、転職活動を始めようとしている方にとって参考となれば幸いです。

(文/シニアコンサルタント)

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