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【コラム】 農業イノベーションで会計人にも商機

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【コラム】 農業イノベーションで会計人にも商機

日本社会の根幹を揺るがす農業の高齢化

今年の夏は東洋経済オンラインで野良仕事をしておりました。「なんでまた農業の連載企画を?」と言われそうですが、直接農業の世界に興味を持ったきっかけは以前、農機具の販売をする企業さんの広報の方のご相談にのったことでした。その内容というのがわざわざNPO法人を設立して就農者を探して育成する事業を展開するという事だったのですが、それまで農業にまったく興味・関心もなかった私は、農業に就いている方々の平均年齢が66.2歳(2012年)になっている、という凄まじい実態を知り、私たちの食べ物を作っている産業として、このまま行ったら社会そのものの根幹を揺るがすヤバイ事態なんじゃないか、と危機感を覚えたわけですね。おまけにTPPや農協の抜本的改革もささやかれ始めている。

ただ、そんななかにも意欲的な農家や企業もありまして、旧来型の世界を換骨奪胎する動きが大好きな私としては、なにか使命感を覚えたわけです。都知事選で家入一真さんを担ぎ出してネットを使い、従来型の選挙のあり方に一石を投じようとしたり、東洋経済オンラインでプロ野球界の旧態依然とした体質に風穴をあける動きを追った連載を企画したりと、要は硬直化したシステムをアップデートする必要性や意義が、農業の世界にもあるなー、と感じて企画・取材を始めたわけです。

健全な競争原理が働かなかった農業界

連載では、ヤンキー出身の生産法人の社長さん、グローバル企業を脱サラした観光農園の経営者さんといった面白い人たちをご紹介していきました。カギに挙げたのは新規参入です。つまり農業も、選挙や野球と一緒で新陳代謝が進まないことが硬直化の大きな要因にあるなという問題意識からでした。その背景として戦後の日本では、農協がドンと存在して農家の機具購入や農作物の販売など、丸抱えで面倒をみてきたことがあります。もちろん、協同組合の名前の通り、これはこれで農家が助け合って生き残るために必要だったこともあるのですが、やがて作り手として消費者のこととか、そんなに意識しなくても、そこそこ作って、そこそこ買ってくれる――不作、あるいは逆に豊作すぎる事態に直面しても、ある種の統制経済システムが働いて何とか乗り切れていたわけです。しかし逆に、様々な規制をかけて“社会主義”になってしまえば、健全な競争原理が働かず、他の産業に比べて合理化・ビジネスライクに出来る部分も失われたわけです。実際その名残は今でも強くて、たとえば企業が農業に参入したくても生産法人への企業の出資比率は25%までと決められている。福岡産の高級いちご「あまおう」のように、ロシアや中国の富裕層が買ってくれる有望な品目もあるのですが、大規模化してグローバルに戦える態勢を整備していくにも、現状は75%のリスクを農家側が背負ってしまう構図なわけです。

今回の連載取材で各地の農家を歩き回って思ったのは、ピンチの今だからこそチャンスの部分も大きいと感じます。安倍政権が農協の抜本的改革を打ち出すなど、族議員が跋扈して抵抗した、かつての自民党時代には考えられなかった時流もあります。もちろん食料の安定供給といったことを考えると、企業が安易に参入して儲からなければすぐ撤退するようなことは困りものですが、企業参入や、個人レベルでもビジネス感覚を身につけた農家がもっと増えなければならないのは当然の流れです。そうなると、それを支える会計士や税理士の役目もあるのではないかと思います。

農業専門の会計士・税理士事務所もある!

実際、東京の方には農業を専門にした会計士・税理士の事務所もあるそうです。私も今回自分の勉強不足と苦闘しながらの取材でしたが、農業界には独特の商習慣、規制などがございます。この事務所の所長さんはご実家が農家で、ご本人も農大を出ているという異色の経歴なのですが、やはりバックボーン的にそのあたりの知識・経験があるわけですね。それを生かして農業経営アドバイザーの仕事も兼務しておられます。

当然、専業にはしなくても、農業が基幹産業になっている地域で活動をされている会計人の方で、経営コンサルも生業にされていれば、「攻めの農業」に興味をもって農業界の知識を習得、たとえばアドバイザーの資格を取得しておくことは十分ありだと思います。企業とのコラボレーションで世界展開する一大産業のサポートは、社会的使命としてやりがいが十分であるだけでなく、意外に競合が少ないので、コンサルフィーが高く取れる実利も期待できそうですね。

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(文/新田哲史=ブロガー・ソーシャルアナリスト、記事提供/株式会社エスタイル)

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