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【コラム】二重課税を防止するために存在する租税条約

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2015年2月2日掲載

【コラム】二重課税を防止するために存在する租税条約

企業の活動はますますグローバル化していますが、国境を越えて企業が稼いだ所得が自分の国と外国の両方で課税されてしまっては企業としてはたまったものではありません。こういった二重課税を防止する一つの策として存在するのが租税条約です。

租税条約は基本的に二国間で締結され、どのような所得がどちらの国で課税されるのか、税率はどうするのか、それでも揉めてしまう場合の話し合いや脱税防止のための情報交換などで両課税当局が協力しましょうというような事を定めています。

最近の租税条約の動向

2014年10月1日現在、日本は租税条約を62条約、85カ国・地域と結んでいます。これらには日本が主にビジネスを行う上で必要な相手国をほとんど網羅しています。最近では二重課税の防止という目的よりも情報交換を目的とした条約を結ぶことが増えています。

例えばケイマン諸島・バミューダ・バハマ・マカオ・ジャージーなどです。これらの国はタックスヘイブンと呼ばれ、税金がかからない又は非常に低税率の国です。最近ではオリンパスの巨額損失隠しの舞台としてケイマン諸島が利用されたことはみなさんも記憶に新しいのではないでしょうか。

世界のグローバル企業の資金が流れ込むタックスへイブンはその秘匿性の高さを売りにしていましたが、昨今、こうした国への世界各国からの批判が増す中で、タックスへイブン国は租税条約による課税当局同士での情報交換を受け入れざるを得ないといったところです。

租税条約の内容とは

さて一般的な租税条約の中身を簡単に見てみましょう。租税条約は企業又は個人が稼ぐ所得がどちらの国に属するものなのかを定めています。

例えば、アメリカの企業が日本に支店を置いて販売活動をしている場合、その支店が日本であげた所得は日本に属します。ただし日本にある拠点が支店ではなく単なる倉庫であり、あくまでアメリカ企業が日本の顧客に対して販売を行うだけで、その倉庫に商品を保管するためだけに使用する場合には、その所得はアメリカに属すのです。

また、このような事業に直接関わる所得ではなく、間接的な所得である投資所得についてはそれを支払う側が所在する国で源泉すべき源泉税率を定めています。主なところでは配当・利子・使用料(ロイヤリティ)です。

例えば日本の企業がその100%親会社であるオランダの企業に配当を支払うときは、租税条約を適用すると日本での源泉税は免税になります。これが日本の企業がその親会社である別の日本の企業に配当を支払うのであれば、現状、国内法によって20.42%の源泉税がかかります。

二重課税を防止する目的が二重非課税を可能にさせている

租税条約はもともと二重課税を防止するのが目的でしたが、昨今では租税条約をうまく利用して二重非課税状態を作るタックススキームが目立ってきました。このような租税条約の乱用に対して、最近では条約に「特典条項」というものを付けることが多くなっています。

これは簡単に言うと租税条約の有利な税率を適用するためには、その企業がペーパーカンパニーではなく、実業を行っていなければなりませんよというものです。二重非課税を作り出すために租税条約上、税率が有利な条項のある国にペーパーカンパニーを作り、そこに配当や利子、使用料を支払っても租税条約の税率は使わせませんよということです。

また、租税回避の動きは各国が独自に対応するには限界があるため、OECDがG20と協力して歯止めをかけるための提言をし始めています。税法や条約の隙間を突いて企業がタックススキームを考え、課税当局がその隙間を封じるべく策を講じるというイタチゴッコは歴史的に永いこと続いており、ビジネスでのボーダーレス化が進む中で会計・税務の専門家として、また経理部などの実務担当者として最新の租税条約動向はチェックしておきたいところです。

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(記事提供/株式会社エスタイル)

カイケイ・ファン ナビゲーターによるコメント

カイケイ・ファンナビゲーター 森澤 初美(MS-japanコンサルタント)

カイケイ・ファンナビゲーター
(MS-japanコンサルタント)
森澤 初美

企業側としては収益のことも考えると課税当局とのイタチゴッコは避けられないことなのかもしれません。
一方で、行き過ぎたタックススキームを講じないようにすることも重要になっています。
ビジネスでのボーダーレス化が進み、今後さらに条約改正も予想される中で「租税条約」については企業経理としても常にキャッチアップしていかなければならない問題ですね。

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