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【会計士Xの裏帳簿】4月から軽自動車税増税 複雑な税制と販売台数の因果関係

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新年度(4月)に入り、税制改正による税額の変更が適用となるものがいくつかあります。税額アップが行われる税金の一つが、毎年、軽自動車を保有している場合にかかる「軽自動車税」です。年間7200円だった自家用軽自動車の軽自動車税は、4月からの新規購入について、1万800円と、1.5倍に引き上げられます。

2つの駆け込み需要で相殺

軽自動車の販売は好調です。単身世帯率の増加や少子化によるファミリータイプカーの需要減、高齢化による自動車買い替え需要の高まりなどで、2014年度、軽自動車の新車販売シェアでは41%を占め、初めて4割を超えました。

今年の2月、3月には4月からの増税を見越した駆け込み需要もみられたようです。ただし、前年同月と比べると販売台数は減少。これは、2014年3月が消費税増税直前だったからです。2つの駆け込み需要が相殺され、インパクトで勝る消費税が上回った形といえそうです。

軽自動車税の「節税」手法による影響

4月からの軽自動車税アップにより、販売台数にはマイナスの影響が考えられますが、この数カ月は、しばらくプラスのマインドも働くと考えられます。それは、軽自動車税独特の「節税」手法を理由とするものです。

軽自動車税は、4月1日時点での車検証上の所有者に対して課されます。そして、同様の課税方法による自動車税と異なり、年度途中での購入に月割りの課税は行われないため、年度内に購入した場合、翌年まで税が課せられません。

つまり、4月2日以降の早い時期に購入すると、約1年分の軽自動車税が節約できます。金額的に数千円から1万円の「お得感」ではありますが、増税が決まってしまった今、「どうせ買うのだったら早めに」という人も少なからずいるはずです。

環境性能の良い車両には優遇も

また、販売に影響する新制度として、環境性能の良い軽自動車への「グリーン化特例」があります。来年3月までに購入した軽乗用車が燃費基準を満たす場合、平成28年度の軽自動車税は2700円から8100円までの3段階のいずれかが適用され、軽減されます。

これにより、減税対象車両については、購入の後押しになることが考えられます。ただし、この扱いは平成28年度分の軽自動車税に限定され、減税額は大きくありません。エコカーには、普通車とともに、自動車取得税や自動車重量税の減税などほかの税目に優遇はありますが、軽自動車税についてのみをみると、プラスの影響はそれほど大きくないものと思われます。

消費税再増税も控え、市場の読みは困難に

さらに2年後、平成29年4月に消費税増税も実施される予定です。平成28年度中には、またもや駆け込み需要の発生とその後の売り上げ減少の影響を考えなくてはならないことになります。

現在の社会的状況から、軽自動車の人気が高まる流れは間違いなくあります。しかし、軽自動車税増税による販売への影響は避けられません。そして、一時的にプラス要素のある税制との兼ね合いで、販売台数との因果関係が複雑に絡み合っている状態であり、メーカーや販売店にとって、市場の読みが難しくなる状況が続きそうです。

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