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【会計士Xの裏帳簿】赤字法人7割切る。目指すは「税金を納められる会社」

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【会計士Xの裏帳簿】赤字法人7割切る。目指すは「税金を納められる会社」

国税庁は3月26日、平成25年度の「会社標本調査」を公表しました。法人が毎年度行う税務申告状況をもとに財務状況等を集計、すべての日本企業の実態を示すデータとして注目される同調査。平成25年4月から平成26年3月までの記録となる今回は、259万5903社が対象となりました。

「建設業」に黒字転換続出?

まず税理士の間で言及されることの多い黒字法人の割合は、前年度から2.1%上昇し、31.8%。3年連続の上昇で、依然割合は低いものの、リーマンショック直前の平成19年度以来、はじめて3割超えを果たしました。

最も黒字企業の割合が高かったのが不動産業(35.9%)、次いで金融保険業(34.6%)、サービス業(34.2%)となっています。また、赤字法人の割合が高かったのは、料理飲食旅館業(79.5%)、次いで繊維工業(79.0%)、出版印刷業(78.5%)となっています。

前年度、平成24年度から黒字法人の割合が最も増えた業種は建設業で、34.1%にアップ。公共事業の増加により、苦境に立たされていた業界が活況となり、黒字転換が増えたものと思われます。

法人税額は1兆円以上増加

調査企業全体の営業収入金額は1493兆4688億円で、前年比7.7%増。2年連続で上昇しています。その中で、黒字法人の営業収入金額は1,138兆1,711億円で、こちらは11.8%アップ、そして所得金額は49兆7,926億円と、プラス22.1%の大幅増となりました。利益を上げられる企業と上げられない企業の二極化が見て取れます。

結果、法人税額は上がり、8兆9,333億円から10兆1,122億円と、13.2%の増加となりました。しかし、法人の黒字転換は、そのまま税収にはつながりません。なぜなら繰越欠損金があるからです。当期の控除額は9兆8,041億円で、昨年から12.8%アップ。翌期繰越額は68兆6,344億円で、累積する欠損金の「消化」が進んでいる状態です。

黒字を出せる企業へ、これからが勝負

さて、今回の調査は法人税引き下げ前のもの。法人減税による減収分を補うためには、企業の増益が必須であり、また、繰越欠損金が歳入アップの重荷となります。大企業の欠損金繰越控除枠を縮小する税制改正がなされていることも、黒字転換する企業の利益をストレートに税収につなげるための方策といえるでしょう。中小企業は、税制改正で軽減税率が維持され、欠損金繰越控除制度の縮小も今のところ手がつけられていませんが、今後の議論の進展が気になるところです。

今回のデータでは、黒字化した企業とそうではない企業の二極化が見られたことも特徴的でした。今後、赤字であることの税務上の「メリット」が縮小するとともに、赤字決算企業への将来性など、与信での評価が今まで以上に低くなるかもしれません。中小企業は、今こそ黒字企業を目指した経営が必要なときなのではないでしょうか。

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