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【コラム】脱税不正資金の隠匿場所と海外における租税回避防止の取り組み例

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【コラム】脱税不正資金の隠匿場所と海外における租税回避防止の取り組み例

最近、国内外で脱税のニュースが世間を賑わせています。4月8日には英銀HSBCホールディングスが、スイスのプライベートバンク部門での脱税幇助の疑いでフランス当局から訴追され、保釈金10億ユーロ(約1,290億円)の支払いを命じられたり、国内では4月13日に人気ライトノベル作家が3,000万円脱税した容疑で、東京国税局が告発したりしています。

国税庁が昨年6月に発表した「平成25年度 査察の概要」によれば、脱税によって得た不正資金は、現金や預貯金、有価証券として留保されていたほか、高級外車や別荘の購入、遊興費、FX取引等の投資にあてられていた例も見られました。

また同庁は、国内の隠匿だけでなく、海外への隠匿についても、査察部の専門部署による調査支援や外国税務当局との情報交換制度を活用するなどして、取り締まりを強化しています。

そこで今回は、不正資金の隠匿場所や外国での租税回避防止の取り組み例として、既に施行されている米国の外国口座税務コンプライアンス法(FATCA:ファトカ)についてご紹介したいと思います。

不正資金の隠匿場所

本来納税すべき税金を納めずに不正に得た資金の典型的な隠匿場所は、居宅や親族宅(納屋や浴室の天井裏、掘りごたつの中など)、事務所(PC用のデスク脚部の配線スペースなど)、親族名義の貸金庫などがあるそうです。

その他に変わった例として、ポットの中や、くり抜いた本の中、敷地のコンクリートの中、居宅の床下貯蔵庫に置かれた段ボール内の金庫や、寝室のベッドのマットレスの下に保管された紙袋などが過去にありました。

これらの隠し場所がどうしてバレるのかは、国税調査官が調査中、被疑者との何気ない会話からその隠匿先を突き止めたりする場合もありますが、それ以外にも周囲からの告発によるものが多いそうです。

資産隠しとその防止策 ―米国のFATCA

2014年6月30日号のNew York Magazineによれば、以前まで、富裕層の資産の隠し場所として、スイスの銀行に開いた秘密口座などが典型例でしたが、最近ではニューヨーク(米国)といった海外大都市部の高級不動産が「租税回避地」になっており、資金が一度不動産に化けると、その資金の出所を特定することはほぼ不可能になるとのことです。

海外から米国の不動産市場に富裕層の資金が流入する一方で、米国の租税回避に歯止めを掛けたのが、2010年3月に施行されたFATCAです。FATCAは、外国金融機関およびその他金融仲介業者を対象とし、米国市民や米国税法上の居住者によるオフショア口座を利用した米国の租税回避を防ぐことを目的としています。

日本人であっても、転勤などで米国に長期間居住し、納税義務者となる場合には、FATCAの対象となり、日本の金融機関に口座があればその金融機関はIRS(米国内国歳入庁:日本の国税庁にあたる機関)に口座・契約情報等の報告義務が生じます。また、必要に応じ「米国納税者証明依頼書兼情報提供同意書」、「米国源泉税に関する受益者証明依頼書」等の所定の書類を提出する必要が出てきます。

確認手続きに応じられない、または報告に同意できない場合は、口座開設・契約締結前なら開設・締結不可となり、開設・契約締結後であれば、該当契約情報等を提出する運びとなっています。

FATCAの今後

2014年7月より、米国納税義務者及びFATCA参加外国金融機関は、新規口座手続きにおいてFATCAの適用を開始しました。また、FATCA不参加の米国外の金融機関に対する一定の支払や、参加外国金融機関における非協力口座への支払について、源泉徴収の対象としました。また今後は、2017年1月1日以降に開始される外国パススルー支払について源泉徴収が義務付けられるといわれていますが、定義がまだ保留されています。これは米国外の金融機関へ大きな影響を与えると考えられており、今後の動向が注目されています。

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