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【コラム】脱税は当たり前?芸能界の税務調査では何が指摘されるのか

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【コラム】脱税は当たり前?芸能界の税務調査では何が指摘されるのか

2015年9月1日の朝日新聞の報道によれば、人気アイドルグループAKB48の運営会社「AKS」(東京)が東京国税局の税務調査を受け、2014年11月期までの3年間で約5億円の申告漏れを指摘されました。追徴税額は、過少申告加算税を含め1億数千万円で、同社は既に修正申告に応じているとのことです。

今回の他にも、芸能プロダクションへの税務調査はたびたびニュースとなり、2010年には人気グループのEXILEが所属する芸能プロダクション「LDH」が数億円規模の申告漏れを指摘され、また2009年には眞鍋かをりさん、小倉優子さんが当時所属していた芸能プロダクション「アバンギャルド」の脱税が発覚し、社長が逮捕されています。

芸能プロダクションでは、何が指摘されるのか

今回のAKSでの指摘は、同社が立て替えたアイドルの家賃、旅行代、歯列矯正費、税金などは全て「報酬」として経費処理されていましたが、実はこれらは寄付金として課税対象になり、立て替えを受けたアイドル側も、立て替えを受けた年の収入になるというものでした。タレントの住居は、所属の芸能プロダクションで借り上げするのが一般的となっていますが、今回のAKSのケースでは、アイドルが親と同居する場合もあり、一般より広い部屋を借り、その家賃を立て替えていたということです。

また、LDHでの指摘も、本来経費に計上できないものを計上するなどの経理ミスがあったということです。

いずれにせよ、「芸能プロダクションが支払った=経費計上」と、どんぶり勘定の処理をしていた印象を受けます。

悪質で「脱税」と見なされるケースは

悪質な場合だと、実態のない外注先などを利用し、架空経費を計上したり、勤務実態のない従業員へ給与を支払い、経費として計上したりするケースもあります。

前述のアバンギャルドでは、関連子会社からタレントを引き抜いたように見せかけて移籍金を支払い、また別の関連子会社とタレントを派遣し合って派遣費用を請求・支払いすることで、抜いたお金の大半をダミー会社名義の口座に隠匿していました。アバンギャルドの社長は脱税の疑いで刑事告発され、懲役2年6ヶ月、執行猶予5年(求刑懲役2年6ヶ月)が、また同社には罰金8,500万円(求刑罰金1億円)の判決が言い渡されています。

売れっ子の芸能人を抱える芸能プロダクションは、税務調査の対象になりやすく、税務署から指摘を受けることが多いですが、反対にきちんと申告・納税されているケースもあります。人気ゆるキャラ「ふなっしー」にも、以前税務調査が入りましたが、申告漏れはなかったそうです。ふなっしーは、芸能プロダクションに所属しない個人事業者ですが、個人事業者への税務調査で申告漏れがないというケースは非常に珍しく、調査担当者は「非の打ち所のない税務処理」と感心していたそうです。

タレントがヒットすれば、大きなお金が動く芸能界。売れている・いないが目に見えてわかりやすいことから、税務署から目をつけられやすいのは仕方のないことでしょう。税務調査で追徴されれば、タレントのイメージに傷がつき、芸能プロダクションの今後の経営へのリスクも増大するので、顧問税理士をつけるなどし、正しい申告をしてほしいものです。


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