「詐欺」は英語で「fraud」といい、この語には他にも「不正」という意味があります。会計に携わる仕事をしている方々ならば、「不正」という言葉から、不正会計処理といった組織の不正をまず思い浮かべるのではないでしょうか。
米国では、公認会計士などのプロフェッショナルは、そういった法人のクライアントだけでなく、個人のクライアントやその家族・友人をあらゆる「不正」から守るために、サポートができるはずだと考えています。
クライアントの「信頼できるアドバイザー」として、消費者詐欺の手口や対応方法を理解することは、会計プロフェッショナルにとって重要であるため、新手の消費者詐欺の情報共有や保護法律の知識のアップデートが求められています。
今回は、日本でもよくある米国における消費者詐欺の手口と、その対応方法についてご紹介します。
送り付け詐欺と米国での対応方法
日本でも、高齢者などに注文していない高額な健康食品などを勝手に送り付け、代金を請求するという「送り付け詐欺」があります。近年、この手の詐欺(ネガティブオプション)の件数が増加傾向にあり、国民生活センターでは注文していない商品が届いたら、受け取り・支払い拒否すること。もし受け取ってしまい、承諾してしまってもクーリン・オフできるので、トラブルにあったらすぐに住んでいる自治体の消費生活センターに連絡するようにとしています。
対して、米国のFTC(連邦取引委員会)が定めた「郵便・インターネット・電話注文に関する商品取引規則」によれば、注文していない商品を受け取った消費者は、代金支払い義務がないだけでなく、送られた商品は「贈答品」として受け取りが可能で、返品の義務はないとしています。
当選詐欺と米国での対応方法
また、他に挙げられる有名な詐欺の手口が「当選詐欺」です。先日、国内で起こった「Apple製品当選詐欺」は、ソーシャルメディア上の投稿やメッセージなどから、Apple製品キャンペーンへの当選をうたって不正なサイトへ誘導し、モバイルユーザーの個人情報を入手し詐取する手口で、2015年5月から7月上旬までの間に全世界から25,000件以上のアクセスを集めました。
米国ではこのような当選詐欺にあってしまった場合、FTCのウェブサイトにて詐欺の内容を報告することができます。そして、市町村・州・連邦・国際レベルまで、必要に応じた警察部隊が捜査に乗り出します。場合によっては、FTCが被害者に代わり犯罪者を訴追し、被害額の返金請求をすることもあるそうです。
米国では、不正対策に重要な4つの分野(会計知識、法律知識、犯罪心理学、調査手法)について豊富な知識を有する「公認不正検査士」という専門家がいます。またこのような専門家だけでなく、公認会計士や税理士も、こういった消費者詐欺の手口、法律や対応方法を知り、クライアントに早期にアドバイスできることで、被害額の縮小や奪回、そして犯人の早期発見にもつながるとして、情報共有・知識のアップデートに努めているというわけです。
日本でも、クライアントとの信頼関係向上のために、新たなサービスへのヒントにしてみてはいかがでしょうか。
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