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【コラム】成立した税制改正関連法。覚えておきたい軽減税率の注意点

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【コラム】成立した税制改正関連法。覚えておきたい軽減税率の注意点

3月29日、平成28年度の税制改正関連法案が参議院本会議で可決されました。
この税制改正の目玉といえば、来年の消費税率を10%引き上げ、それに合わせて軽減税率を導入することです。
今回は可決された軽減税率の内容や、その注意点についてまとめてみました。

軽減税率が適用される対象とは?

1989年に消費税制度が導入されて以来、初めての複数税率となる今回の軽減税率では、税率をすえ置く対象や、基準をどこに設けるかが大きな問題となり、議論が重ねられてきました。

今なお消費税増税の先送りを訴える国民の声は強く、何の動きもないまま増税に進むとはいいきれません。それでも来年の4月には消費税率が10%になり、同時に軽減税率が導入される可能性は非常に高いといえます。その時に向けた備えをはじめておくことは、けっして無駄にはならないでしょう。

可決された税制改正関連法案では、酒類と外食を除く飲食料品と、新聞が軽減税率の対象となっています。それぞれの分野において、対象の線引きをどこに定めるかが議論のポイントとなっていました。詳しくは以下の通りです。

飲食料品
飲食料品に低減税率を導入する上で特に問題となったのは、その対象外である「外食」の定義をどこに置くかというものでした。

議論を重ねた結果、外食の定義は「客が指定した場所での飲食サービスであること」「テーブルや椅子といった設備のある場所でサービスを提供すれば外食とみなす」とされました。
しかしテーブルや椅子といった設備のある場所でも、学校給食や老人ホームでの食事の場合は軽減税率の対象に含まれます。

また、曖昧なケースも指摘され、それらに関しても線引きが進められました。
その一例としては「ホテルのルームサービスやカラオケでの料理注文も外食」「コンビニやショッピングモールのフードコートで購入した食品は、レジ袋に入っているなどの持ち帰れる状態であれば低減税率適用。トレーに乗っているなど、店舗で食べる形式をとっている場合は10%税率に」「玩具付き菓子などの場合は飲食料品の比率が3分の2を超え、商品の価格が1万円以下であれば、低減税率が適用される」といったものがあげられます。

外食産業各社では、インターネットで注文を受けるサービスを強化したり、持ち帰り専用のメニューを展開したりするなど、低減税率の対象となる持ち帰りサービスの利用者を増やすための取り組みをすでに行いはじめています。
しかしファストフード店などの外食産業では、持ち帰りの形で購入した商品を店内で飲食してしまう場合の可能性も含め、起こり得る問題の対策を迫られている状況にあります。

新聞
新聞の場合、「日刊か週2回以上発行する新聞を定期購読する場合」が軽減税率の対象とされています。新聞の電子版や駅などで販売している新聞については対象外となるようです。
書籍や雑誌も対象として扱うべきかという議論があったものの、暴力や性的な表現を含むものを切り分けることが難しいという理由から、導入は見送られるようです。

同じ8%でも注意! 現行の消費税率と軽減税率の違い

ここにあげた軽減税率の対象となる商品は、今まで通り8%の税率にすえ置かれる予定です。そう考えると今までと変わらないような印象を受けますが、実は現行の消費税率と軽減税率の間には微妙な違いが存在しています。
これは税理士をはじめとした税務にたずさわる方には深く関わる内容ですので、念のために紹介しておきましょう。

現在の消費税法第29条では、国税としての消費税率は6.3%と定められています。残りの1.7%は、地方税法第72条の82および83に基づいて、地方消費税として徴収されています。
消費税の増税が施行されると、10%の消費税の税率のうち7.8%が国税で、残りの2.2%が地方税という形で振り分けられます。
そして軽減税率の税率についても、国税6.24%、地方税1.76%という内容に変更となります。
つまり同じ8%の消費税であっても、国税と地方税の占める割合が違ってくるのです。

数字だけを見れば、微妙な変化かもしれません。しかし消費税の申告や会計データを作成する上では大きく影響する事柄ですので、そうした業務に関わる税務担当者や経理の方は気を配ることになるでしょう。

今回の法案成立によって、長らく話題となっていた軽減税率導入がいよいよ現実の問題として迫ってきました。実際に導入がはじまると、ここにあげた事例のほかにもさまざまな問題が発生するかもしれません。税務に関わる方は今のうちから起こり得る問題を想定し、準備をはじめておくのが得策といえるでしょう。

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