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【コラム】米国経済は「ニューノーマル」へ……利上げの影響と今後の米国は

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2016年10月20日掲載

 【コラム】米国経済は「ニューノーマル」へ・・・利上げの影響と今後の米国は

9月13日の新聞各社の報道によれば、米連邦準備制度理事会(FRB)のブレイナード理事がシカゴでの講演で、フェデラル・ファンド金利(米国の代表的な短期金利のこと。 FF金利ともいう)の引き上げ(利上げ)について、次回の米国連邦公開市場委員会(FOMC)会合での利上げは時期尚早との見方を示し、「米国経済は成長力が鈍化しており、金融引き締めは慎重さが求められる」とコメントしました。
雇用統計などの数値から、米国の労働市場は改善しつつあるものの、物価上昇への圧力が弱いことが背景にあるためです。
同氏は現在の状況を「ニューノーマル(新常態)に突入した」と表現し、「失業率が改善しても、インフレ率が伸び悩むため、景気の過熱を防ぐような先行的利上げは説得力を持たない」と主張しています。

利上げとその影響

2015年12月に、これまでの0〜0.25%から、0.25〜0.50%に政策金利を引き上げた米国。それ以降も、次の追加利上げはいつなのかという思惑が株式市場や金利市場に大きな影響を与えています。では、ブレイナード理事の言う「ニューノーマル」とは、どのような状態なのでしょうか?
 
「ニューノーマル」を説明する前に、あらためて米国の利上げとその影響について考えてみたいと思います。FRBはFF金利を引き上げることで、景気を抑える効果をねらいます。利上げすると、連邦準備銀行から借り入れている一般の金融機関も金利を上げ、企業などへの貸付を抑制します。その結果、企業が借り入れや設備投資を控えるので、銀行からの借入金の金利上昇により利息費用が増加し、企業の決算や業績にも影響してきます。
もちろん、利上げの影響は米国国内にとどまりません。米国債は利回りが上昇し、投資商品としての魅力が増してきます。結果、リスクの高い新興国の国債への投資を引き揚げ、米国債へ資金が流れ、ドルが他の通貨に比べ高くなります。
実際、2015年12月の利上げは、一時的に市場は好況に見えましたが、その後原油価格の暴落、中国市場の株安などもあり、日本の株式市場は一時期16,000円を下回り、多少なりとも利上げの影響を受けたといえます。

ニューノーマルとは

「ニューノーマル」そのものは、「新たな常態・常識」という意味です。ビジネスや経済の分野において、2007年のサブプライム住宅ローン危機を発端とした2008年のリーマンショックや、2012年にかけて続いた景気後退後における金融状態を意味する表現として使われるようになりました。かつては異常とされていたような事態が、ありふれた当然のものとなっていて、世界経済はリーマンショックから回復しても以前の姿ではなく、別物になっているとの見方から「ニューノーマル」という言葉が定着してきました。「ニューノーマル」は、構造的な変化が避けられない状況を示唆しているともいえます。
 
米国労働省が9月2日に発表した8月の雇用統計では、非農業部門雇用者数の伸びが15万1,000人と、市場予想の18万人に届きませんでした。FRBはこの結果を受け、「労働市場は完全雇用状態に近い」と述べていますが、これまでの大幅な雇用者数の伸びが鈍化し、また賃金の伸び率も緩やかになってきていることから、金融市場では利上げのタイミングを見定めることができない状況にあるとみられています。利上げのタイミングを間違えると、金融市場や世界経済全体の混乱を招く可能性があるため、今後、市場の動向を見守りながら、「ニューノーマル」の着地点を探していく流れになるでしょう。

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(記事提供/株式会社エスタイル)

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