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【コラム】どうなる? 高層マンションに関する固定資産税見直しの議論とその行方について

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【コラム】どうなる? 高層マンションに関する固定資産税見直しの議論とその行方について

各社の新聞報道によれば、政府・与党は、高層マンションの高層階に対する固定資産税を増税する方向で検討しているということです。与党の税制調査会で議論し、本年12月にまとめる平成29年度税制改正大綱に盛り込み、平成30年1月にも実施することを目指しているということです。なぜ、このような方針が検討されているのでしょうか。
背景には、富裕層による高層マンションを活用した相続時の節税対策という問題があるようです。

なぜ、節税対策に高層マンションが有利なのか

相続時の節税は、現金をそのまま相続する場合と比べると、不動産で相続したほうが節税になると言われています。例えば、親が子どもに1億円の現金を相続させようとすると、評価額は1億円となり、相続税は相対的に高額なものとなります。一方、不動産を相続する場合には、不動産の財産評価は現金を下回る傾向があります。中でも高層マンションの高層階を購入すると、この節税効果をさらに大きくすることができます。

高層マンションはその眺望や、上の階の住人による騒音の心配がないなどの理由で高層階に人気があるため、高層階と低層階とでは販売価格が大きく違います。この販売価格の差が、マンション内での格差を生んでいるとも言われています。さらに、資産価値も高層階の方が上がる傾向にあります。
一般的な不動産の固定資産税は、土地と建物を分けて考え、相続において土地は「路線価」、建物は「固定資産税評価額」で評価することになります。高層マンションは1棟に多くの住宅と、ロビーや廊下などの共有スペースがあるので、一般的な固定資産税の計算とは異なります。しかし、どの階であっても専有面積で税額が決まるため、高層階も低層階も専有面積が同じであれば固定資産税は同じ額です。

資産価値が高い高層マンションの高層階の住宅を購入し、子どもが相続して売却しようとすると、現金での相続と比べて相続税を抑えることができる可能性があります。高層階に住む人は富裕層が多いこと、高層階と低層階では資産価値に差があるのに、固定資産税は同じということに異議を唱える所有者が増え、今回の見直しにつながったようです。

今後予想される法改正と、あるべき対応について

今回の見直しは、2018年以降に引き渡し予定となっている20階建て以上の新築物件に限定するということですので、既に高層マンションを購入した方への影響はないようです。
しかしこのような事態を踏まえ、節税対策を主目的や、当面は居住目的ではあるものの将来の相続も見越した不動産購入を検討している顧客から、質問や相談が多く寄せられることが想定されます。

法改正される前に、駆け込み需要で高層マンションの上層階を購入する人が増えて、販売価格が上がる可能性があります。中古物件だとしても上層階の住宅は物件数が少ないので希少価値が高く、資産価値が下がることは今のところはないでしょう。
低階層は減税される可能性がありますので、今回の増税に向けた法改正の動きに注目し、高層階の部屋と低層階の部屋にそれぞれにおける課税のあり方と、法改正に関する今後の動きについて、しっかりとした予想を立てることを助言する必要がありそうです。

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