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有名旅行代理店破産にみる、旅行業界の収益構造【コラム】

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「てるみくらぶ」破産にみる、旅行業界の収益構造【コラム】

3月27日、旅行代理店の「てるみくらぶ(東京都渋谷区)」は、東京地裁に自己破産を申請し破産手続き開始の決定を受けたと発表しました。負債額は約151億円で、旅行業界史上4番目の大型倒産となりました。代金を支払い済みの顧客は8万~9万人いるだけでなく、同社の破産手続きにより旅行が途中で中止になった顧客もおり、大混乱となりました。同社は日本旅行業協会と返金手続きを協議する予定ですが、大半が返還されない見通しです。
1998年12月に創業した「てるみくらぶ」は、自社サイトで海外旅行パッケージツアーを中心に展開し、格安旅行会社として人気を博しました。2016年9月の売上高は約195億円まで達しましたが、広告費の増加や、対面販売や添乗員の増員などによる人件費の増加に加え、円安の影響を受けて利益率が悪化、資金繰りが厳しい状態に陥り、ついに自己破産申請に至りました。
一般的に薄利といわれる旅行業界ですが、業界の収益構造はどうなっているのでしょうか。また、倒産の兆候がある会社はどのような特徴があるのでしょうか。

「薄利」といわれる、旅行業界の収益構造

旅行代理店業は開業にあたり、観光庁長官または各都道府県知事の行う登録(旅行業登録)が必要ですが、比較的参入障壁が低いといわれています。しかしインターネットの台頭で、ネット販売による低コストを売りとする旅行代理店の新規参入も多く、競争が激化しています。
旅行代理店の主な収入源は、航空券や宿泊施設販売等の販売に対するコミッション(手数料)ですが、航空会社やホテル、旅館などの多くもLCCや民泊など、新業態との値下げ競争が激しく、コミッションも減少の傾向にあります。
「てるみくらぶ」も、航空会社からのボリュームインセンティブであるコミッションに依存した収益構造であったといわれており、その少ないコミッションでは資金繰りが苦しくなるため、「現金一括入金キャンペーン」といった、顧客から事前振り込みで旅行代金を受領していたことで、何とか事業を回していたようです。

倒産しそうな会社の特徴とは

「破産」はまさに債務超過による支払不能が原因で発生しますが、財務諸表を公開する上場会社ならまだしも、「てるみくらぶ」のような非上場の会社だと、債務超過かどうかを判断することが困難な場合があります。財務諸表以外で、倒産しそうな会社の兆候は、対外的・対内的な観点からいくつかあります。非上場企業における典型的な例ですが、同社にも下記に挙げた兆候があったことがわかります。
(対外的)
 ・ 取引先の銀行員が頻繁に来社
 ・ 取引先へ買掛金支払期限の延長、現金払いから手形払いへの変更など
 ・ 支払期日より前に売掛金を回収
 ・ 採算度外視の商品の安売り
 ・ 少人数私募債を頻発
(対内的)
 ・ 営業のトップや経理部長が退職
 ・ 経費コントロールの激化(従業員に自腹を切らせる場合も)
 ・ 給与支払いの遅延
消費者サイドで注意すべき点は、やはり過度な安売りを行ったりしていないか、早く旅行代金を支払わせるよう仕向けられたりしていないか、などでしょうか。

東京商工リサーチが算出する「てるみくらぶ」のリスクスコア(1~100までの100段階で信用力を表し、100が最も低リスクで、1が最も高リスクを示す)は、2016年に大きく変化しており、2016年6月までは「20」であったのが、7月から8月が「4」、そして9月からは「1」と、高リスクへの道をたどっていました。
楽しい旅行のはずが、最悪の思い出にならないためにも、消費者側にも注意すべき点はあります。上記の点を踏まえ、旅行代理店選びは慎重に行ってください。

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