会計事務所を取り巻く環境が大きく変化し、単なる記帳代行をメインとする事務所は縮小の一途を辿っている。反対に規模拡大している成長中の事務所は税務を始め、様々な経営上の課題を積極的に解決するソリューション型の事務所と言える。
顧問先の課題は単なる助言や紙面による計画書のようなものでは到底解決せず、実際に現場で手足を動かさなければならない。
そういった行為を行うのは高性能なパソコンでも優れたソフトでもなく、知性を持った生身の人間、つまり会計事務所の職員(人材)であり、そのニーズはますます重要性を高めていると言える。
優れた人材をいかに確保することが出来るかが、今後の事務所存続の命運を握っていると言っても過言ではない。会計事務所はお役所ではなく、企業と同様に利益を追求する事業体である為、本質的に求められるのは売上を伸ばすことに貢献してもらえる人材ということになる。
ところが、会計事務所の現場ではかなり大雑把に採用活動が行われているケースが多い。
「数年の実務経験があれば良い」、「2〜3科目に合格していればOK」といった表面的な採用基準にばかり関心が集中し、雇用のミスマッチが生じている。その結果、かなり短期間の内に職員が入れ替わることになり、事務所は成長を止められてしまうのである。
では、会計事務所が必要としている理想の人材像とはどのようなものか。会計事務所にも様々なタイプがある為、一概には言えないのだが、実務経験や合格科目数よりも「営業的センスを持った人材」が採用され易いというのが現実である。営業的センスとは何か。
クライアントが支払う金額以上の仕事が出来る職員、クライアントの進むべき方向を明示できる職員(顧問先のコンサルタントが出来る職員)、報酬規定を作れる職員、クライアントと仕事以外でも付き合いの出来る職員(そこまで顧問先に深く踏み込めるという意味)等である。つまり、指示通りの仕事ではなく能動的な業務が行えるかどうかということである。
具体的な採用動向に関しては、税理士有資格者(5科目合格者)の場合、税務のプロとしてクライアントに対し提案や助言の出来るコンサル系業務でのニーズが高く、35歳までの若手を中心に引き合いが強い。また、3科目以上の科目合格者の場合、取得科目内容(例えば、簿記論・財務諸表論・法人税)や実務経験の内容が採用の可否を大きく左右する傾向が強い。また、会計事務所未経験者の場合、人物面を重視して面接が行われるケースが多いと言える。