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【シリーズ 資格プラス@】第5回 メモ魔のエースが示唆する「自分ノート」の必要性

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2012年のプロ野球は、読売巨人軍が3年ぶりの日本一に輝き、終了した。

その巨人軍に昨年まで4シーズン在籍したのがセス・グライシンガー投手だ。来日した2007年はヤクルト時代でリーグ最多の16勝。翌年移籍した巨人でも17勝をマークし、史上6人目となる2球団で2年連続の最多勝投手に輝いた。しかし故障の影響で2010~2011年は2年間で1勝と低迷。巨人を戦力外となり、今季はロッテに移籍した。年俸も8,000万から3,000万の大幅ダウンで拾われる形となり、シーズン前は限界説も取り沙汰されたが、助っ人右腕は先発の柱として見事復活。チームは前半戦終了時に42年ぶりに首位で折り返し、その原動力となった。終わってみればロッテは5位に終わったものの、自身は3年ぶりの2ケタ勝利となる12勝、防御率2.24と健在ぶりを見せつけた。

今季ロッテファンに飛ぶように売れたグッズがある。その名も「セスノート」。グライシンガー投手はヤクルト時代から、相手打者の特徴、配球の傾向などを細かくノートに付けている。試合中もイニングが終わるごとにベンチで書きこんでおり、その積み重ねが活躍を支えてきた。グッズは、エースの”メモ魔”ぶりに目を付けた球団側が企画。本物に合わせたB6サイズのノートを球場内で販売したところ、即日で250部が完売したという。

メモを取ることで自分なりの考えをまとめることはビジネスの世界でも有用だ。特に公認会計士、税理士の受験生であれば、受験勉強でカリキュラムを消化し、模擬試験~本番と挑んでいくプロセスは、アスリートと同じ「勝負」の世界にいるといっていい。グライシンガー投手のように自分独自のメモを取って、自分なりの課題や傾向と対策をまとめてみる。自分用のメモやノートを作ることは、一度打たれたバッターを次の対戦でしっかり抑えるのと同じく、自分が苦戦した科目や分野の攻略法を早く見つけるツールとして重要になる。というのも、税理士は5科目、会計士は短答と論文を合わせ9科目、と大変な量の勉強をこなさねばならないからだ。

甲南大学会計大学院講師で、公認会計士の辻井一磨さんは「膨大な量を理解し整理するためには、ノート(=自分用のテキスト)の作成が近道」と指摘する(同大学院サイトより)。また、税理士の入江俊輔さんも受験生時代に「自分ノート」を作成した一人。入江さんの場合は「今月の課題」「今週の課題」とスケジュールごとのタスクを掲げ、模試で間違った部分があると、その傾向や原因、分析をしていたそうだ(著書「だから税理士はやめられない」より)。もちろん「自分用のノートを作ることは時間の無駄」という意見もあるだろう。しかし、そういう人に限って、スクールのテキストの余白にビッシリと書きこんでいたりするものだ。合格者はどこかで自分なりの傾向と対策をまとめる作業をしている。

グライシンガー投手はシーズン中、「相手の狙っているボールを少しずらして打ち取っていきたい」と語っていた(2012年8月28日、日刊スポーツ)。出題者と”対戦”する受験生のあなたもメモ魔となって「相手の狙っている落とし穴を少しずつかわして合格に近付いていきたい」と思っていただきたい。

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